迷走かと感じる時期も…

小田尚史 記者
小田福岡戦(第35節)の前の週に、関口(訓充)選手が紅白戦のメンバー外になるという出来事がありました。この週は、玉田(圭司)選手も肉離れから回復してきたところだったんです。その前の水戸戦 徳島戦 と攻撃の形がうまく作れなかったから、福岡戦はホントに大事な試合だと思って、結構しつこく試合前にパウロ・アウトゥオリ前監督に聞いたんですよ。『玉田選手のケガはどうですか、起用しますか?』って。そしたら『お前は玉田のことばっかり聞くんだな、玉田のことが好きなのか?』って冗談ぽく聞き返されました。試合後の会見でも、2人(玉田、関口)を使わなかった理由を質問したら、監督から逆質問されるみたいになりました(笑)」
和田「この頃から、アウトゥオリ監督になんとなく不安定な言動が見られるようになりましたよね。次の北九州戦 は勝ったのに、すごく不機嫌でしたし」
小田「水戸戦からガタガタガタッとなりましたよね。北九州戦後、監督が辞めると言った言わないという騒動もありました。北九州戦は勝ったんですけど、監督は『全然うれしくない』って言ってましたね。その翌節から、形を変えたりメンバーを替えたりということが始まりました」
和田「そうですね。迷走かな、と感じましたね」

多くの選手を起用し、また様々なチャレンジを行ったパウロ・アウトゥオリ前監督。終盤は勝ち星を上げることができず、第41節・長崎戦後に退任した。

小田「アウトゥオリ監督は『相手に合わせてやる』と話していましたけど…」
和田「選手も信用しきれなくなったんじゃないかと思いました」
前田「ですね」
小田「選手は必死についていこうとしていたんですけど」

和田りつ子 記者
和田「どの試合だったか、玉さんが『選手たちが縮こまっている』というコメントをしたんです。失敗したらアカン、チームにとってマイナスになったらダメだという思いからか、みんなが静かになって、練習でも言葉が少なくなってしまったと…。それから、終盤で起用された若い選手もちょっと気の毒な感じがしました。小暮(大器)選手や秋山(大地)選手は、自分がラッキーボーイにならないといけないというプレッシャーがあったのでは。もっと伸び伸びとプレーさせられるタイミングはいっぱいあったと思いますし、起用はもっと早い時期でもよかったかと」
小田「そうですね。群馬戦 の秋山選手はかわいそうでしたね」
前田「ケガをしながらでしたよね」
小田「でもチャンスをつかんで、やる気に満ちていたんですよ」
和田「愛媛ではあれだけ信頼されて試合に出て、セレッソに帰ってきたんですけど…」

雨のアウェイ2連敗、金沢・長崎戦はつらかった…


雨の中、声援を続けるセレッソサポーター。続く長崎戦も雨…つらい2連敗だった。

--振り返ると、第37節・群馬戦から第41節・長崎戦までが一番しんどい時期でした。2分3敗と、ずっと勝てないままでした。
小田「つらかったです、あの頃は。アウェイの金沢戦 長崎戦 は行かれたサポーターの皆さんもつらかったと思います。両方とも雨だったんですよ。それでも最後まで皆さんが応援してくれて、選手たちもやらなければ…という気持ちは見えました」

前田敏勝 記者
和田「下を向かずにやろうというのは伝わりました」
小田「それが、シーズンの最後につながりましたね。そういう時期でも、選手たちは試合直後にもしっかりコメントしてくれて助かりました。特にベテランの選手、ハシさん(橋本英郎)、関口選手、玉さん、あとパブロは一貫して前向きで、長崎戦後も『もう1回パワーをください』とコメントしていました」
前田「今年は練習でもなかなか明るいムードになりにくかったんですが、そういう時でもパブロが盛り上げてくれていましたね」

Vol.5に続く 
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【出席いただいた皆さん】
前田敏勝さん(左)
Jリーグ公認ファンサイト「J’sGOAL」セレッソ大阪担当。セレッソのオフィシャルメディアや雑誌、WEBなどで広くサッカーライターとして活躍中。
和田りつ子さん(中)
元女子1級審判で、スカパー!の中継レポーターの経験も豊富。サッカーの見識、愛情ともに深い“おしゃべり屋さん”。セレッソ大阪堺レディース、ガールズも取材。
小田尚史さん(右)
『エルゴラッソ』のセレッソ大阪担当として、ホーム、アウェイの試合、トレーニングと広く深く取材を続けている。熱い記事が持ち味の気鋭のライター。
進行・まとめ
横井素子(まいど!セレッソ~マイセレ~編集担当)

2015年12月15日実施