チームを日々取材しつづけた「セレッソ番」の前田敏勝さん、和田りつ子さん、小田尚史さんの3人に熱く語っていただいた座談会も今回vol.10が最終回。
御三方の写真では、「2016年のセレッソ大阪に望むこと」をお書きいただいています。
出席いただいた3記者profile 

手強いチームが増える2016年のJ2


小田尚史記者:積み上げ
小田「2016年のJ2を勝ち抜くという意味では、小林(伸二)さんが監督をする清水や松本、山形と、嫌なチームが増えるのは気になります」
和田・前田「そうなんですよ!」
小田「割り切ってセレッソの攻撃に耐え、走力やセットプレーなどで向かってくる、そういうチームが多くなる。今年は大宮や磐田とはガチッとやって勝てたけど、いやらしいチームが増えるというところで言うと関口選手がずっと言っていたように『球際とか走ることで負けなければ、最終的には自分たちの技術が上回る』ということがより大事になってくると思います。セレッソらしい地上戦とか技術とかを追求して、色を出して…というところもあるんだけど、プラスそういう球際や走力というところがないと、また足下をすくわれると思います。大熊(清)さんが言っていた、そういうベーシックなところはずっと前提として必要ですよね」
和田「レディースも、メチャクチャ走って、球際でも頑張っていましたから」
小田「レヴィー(・クルピ元監督)さんのころも、乾(貴士)選手や清武(弘嗣)選手もうまいだけじゃなくて、すごく走ってたじゃないですか。そういうチームを作るのは簡単ではないですけど、来季は問題なく自動昇格で上がりたいです」
前田「J1昇格プレーオフは、正直もういいですよね」
和田「あとは、せっかく2シーズンJ2にいるんだから、タイトルを取ってJ1へ行ってほしいです」

若手の中から、熱い気持ちを持った選手が出てきてほしい


前田敏勝記者:継続性 連動性 情熱的に
前田「今年は経験のある選手がものすごく体を張って、玉さん(玉田圭司)たちが感情をあらわにするシーンがたくさん見られましたが、そういうものが若手にも欲しいなと思います。みんなまじめに頑張っていたと思いますが、もう少し熱量が欲しかった。チームのために体を張ります、というのが見たかった。セレッソってこの熱さが伝統的にあるから、チームのなかで喝を入れる役になれる選手が若い選手からも出てほしいなと」
和田「いろんなところで汗をかける選手が出てきてほしいですね」
前田「背中で見せるタイプ…というのもあるかもしれないですけど、キャラを変えてでも自分からリーダーになる、やるぞという選手がアカデミーから育ってきてほしい気がします。もちろん外から経験を持ってきてチームのために頑張ってくれている選手にも胸を打たれると思うんですけど、セレッソをずっと応援してくれている人たちは、自分たちが育てた選手が出てきたら、もっと胸を打たれると思いますね」

和田りつ子記者:J2優勝(初タイトル獲り)J1昇格
和田「大熊(裕司)さんが昨季トップの監督をされて、今はアカデミーで気持ちの入る選手を育てておられる気がします。U-18とトップの練習試合のときには、トップを倒してやるぞという気持ちがU-18の選手たちには見られました。18歳でもガンガン行って、自分が8番をつけてセレッソをJ1に上げるぞというような選手が、生え抜きの中から出てきてほしいです。あとは、今年は得点が少なかったので、セレッソらしく点をたくさん取ってほしいです。特に若い選手でタレントが出てきてほしいです」
前田「海外へ挑戦する前に得点王を取る、自分が優勝させるという、そういう選手が出てきてほしいです。今季のJ2での日本人最多得点は小松(塁)選手なんですよね」
小田「今年はJ2で元セレッソ勢の活躍が目立ちました。小松選手、前田(和哉)選手、井上(翔太)選手<以上北九州>、黒木(聖仁)選手<長崎>、家長(昭博)選手、播戸(竜二)選手<以上大宮>、中後(雅喜)選手<東京V>…多かったです」
前田「元セレッソの選手のコメントを取らせてもらいましたけど、みんな活躍して、でもセレッソへの愛着も持ってくれていました。元セレッソではないですが、マイセレに掲載した愛媛・河原(和寿)選手のコメント は、こういう選手に出てきてもらいたいという思いも込めて書かせてもらったんです。河原選手は、『自分でコメントして、泣いちゃいそう』って言って去っていきましたね」
和田「河原選手も愛媛で変わりましたからね」
前田「やっぱりお金だけじゃないんだなあというのが感じられました」
小田「セレッソでは、1年目の関口(訓充)選手なんかは熱量を持って引っ張ってくれていました。どんなときにも鼓舞していたし、いつも先頭を走っていましたしね。若手にも絡んで、本当にいい兄貴になっていましたよね。いい時期に来てくれたと思います。プレーオフでもいいプレーしてました」
前田「今年は足がつるまで…と言うシーンはあまりなかったですが、プレーオフの愛媛戦で、ハシさん(橋本英郎)が体張って見せてくれましたよね」
小田「それを見て、若い選手は何を感じていたかですよね。来季は見せてほしいです。悔しさでもなんでも、自分なりに表現してほしいです」
前田「自分からキャプテンに立候補するぐらいの気持ちを見せてほしい!」
和田「ホント、そう思います!」

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座談会を終えて

予定していた1時間をはるかに超え、2時間に及ぶ熱い座談会になりました。あらためて、御三方に厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。
日々のトレーニングから取材を続けていただいている記者の皆さんの言葉には、いちいちうなずかされましたし、セレッソに強くなってほしい、いいクラブになってもらいたい!という気持ちも心強く感じました。
2014年はJ1残留ならず、2015年はJ1昇格がかないませんでした。2016年は、昇格に再チャレンジのシーズンになります。引き続き、セレッソ大阪そして公式ファンサイト「まいど!セレッソ~マイセレ~」をよろしくお願い申し上げます。
1年後、サポーターの皆さんに歓喜のシーズン・レビューをお届けできますように!
橫井素子


【出席いただいた皆さん】
前田敏勝さん(左)
Jリーグ公認ファンサイト「J’sGOAL」セレッソ大阪担当。セレッソのオフィシャルメディアや雑誌、WEBなどで広くサッカーライターとして活躍中。
和田りつ子さん(中)
元女子1級審判で、スカパー!の中継レポーターの経験も豊富。サッカーの見識、愛情ともに深い“おしゃべり屋さん”。セレッソ大阪堺レディース、ガールズも取材。
小田尚史さん(右)
『エルゴラッソ』のセレッソ大阪担当として、ホーム、アウェイの試合、トレーニングと広く深く取材を続けている。熱い記事が持ち味の気鋭のライター。
進行・まとめ
横井素子(まいど!セレッソ~マイセレ~編集担当)

2015年12月15日実施