「まいど!セレッソ」のオフ企画、選手別レビュー!
J1昇格を決めた2016年。選手にとってのこの1年を、日頃から取材を続けてきた番記者ならではの視点で振り返ります。


ソウザの2016年

J1昇格プレーオフの2試合で見せたプレーは圧巻だった。準決勝・京都サンガF.C.戦 では、地を這うミドルシュートで柿谷曜一朗の先制点をお膳立てし、1-1で迎えた試合終了直前にはゴール前に戻って間一髪のクリアで京都のチャンスを阻止した。決勝・ファジアーノ岡山戦 でも、丸橋祐介の蹴ったCKを相手DFに挟まれながらも競り勝ち、清原翔平の決勝点につなげた。2試合を通して好セーブを連発したGKキム ジンヒョンとともに、“昇格プレーオフのMVP”と呼んでも過言ではない活躍ぶりだった。

もっとも、リーグ戦で残した数字も圧倒的だ。シュート数、パス数、タックル数、インターセプト数、空中戦(自陣)で競った数、これら5項目でチームトップの数字をたたき出した。ボールを奪い、運び、シュートを放つ。主にボランチでの出場が多かったが、ポジションにとらわれない、攻守に縦横無尽の働きぶりだった。

今季、唯一のJ1クラブとの対戦となった天皇杯3回戦・サガン鳥栖戦 でも、後半途中から出場して流れを変えるなど、J1勢相手にも堂々たるプレーを見せ付けた。来季の去就は流動的だが、セレッソ大阪にとって3年ぶりのJ1をともに戦うことばできれば、頼もしい戦力となることは間違いない。

ライターからひとこと

「ゲンキ?」「オツカレサマデス」
練習場から引き上げてくる際には、覚えたての日本語をひとこと添えて、クラブハウスに入っていく。そのキャラクターは、とても人懐っこい。11月のある日には、記者が外で寒そうにしていたのを見て、帰る際に飲みかけの(!)温かいコーヒーをくれかけたことも…。ほかの選手が取材を受けているそばを通りかかると、その選手のチャントを口ずさむ。

そんな陽気さを持つ一方、一度ピッチに入れば、勝利に向かって全身全霊でプレーする。J1昇格プレーオフ準決勝の試合後に残した、「自分は今年からチームに加わったのですが、日本代表にも選ばれるような選手がいるクラブで、強いグループのなかでプレーすることができて、誇らしく思っています」という言葉はとても印象的。初のブラジル国外でのプレーとなった今季だが、シーズン終盤は完ぺきにチームに溶け込んでいた。初対面の際、「強面だなー」と少し警戒心を抱いてしまったことを恥じてしまうほどに、取材を通して1年間接してきたその素顔は、実に魅力的だった。

文・小田尚史

マイセレ:ソウザ選手の記事一覧