苦しみながらもJ2リーグを4位で終え、再び挑んだJ1昇格プレーオフ。そして、つかんだJ1への切符…紆余曲折あった2016シーズンを、今年も「セレッソ番」のお三方が振り返ります。前田敏勝さん、和田りつ子さん、小田尚史さんの熱いトークをお楽しみください。 
出席いただいた3記者profile 
2015番記者座談会

昨季の悔しさをスタートに、戻るべきところに戻った

--今シーズンも、セレッソ大阪の取材、お疲れ様でした。U-23の活動がスタートして、J2とJ3、さらにレディースやアカデミーまで取材される多忙な1年だったかと思います。まずはJ1昇格を果たしたトップチームについて、ひとことずついただけますでしょうか?
前田 2年間大変でしたけど、選手の言葉じゃありませんが、回り道をしたかもしれないけれども最後の試合(J1昇格プレーオフ決勝 )でなにか少しは報われたというか、この2年間の積み上げてきたものが表れたからこそ、J1に戻ってくることができたのかなと思います。本当に良かったです。


小田 昨季のプレーオフ決勝の悔しさ、あれがスタートラインだったと思いますし、今季の始動日もたくさんのサポーターが来てチームを鼓舞していました。選手もそうですけど、セレッソ大阪全体に『今季はなにがなんでも上がる』という大きな目標がありました。昨季と同じ舞台をもう1回踏んで、そこを突破して決めたという点で成長というものを感じました。昇格プレーオフの2試合はすばらしい試合をしましたし、決勝前日の(舞洲グラウンドでの)サポーターの皆さんとの一体感 ということも含めて、ここまでの1年間の思いや成長を、最後の岡山戦のピッチ内外でぶつけられたんじゃないかと…本当に、心からよかったなと思います。
和田 本当に、戻るべきところに戻ってきたなという感じです。J2のセレッソは、セレッソであってセレッソではない感じがいつもしていて、J1にいないといけないクラブだと改めて感じました。シーズンの途中で、選手がバラバラになりかけたときでも、今お二方が言われたように、目的が1つだったので、また一丸になれたという感じはありました。みんなそれぞれいろいろなことを思っていたと思うんです。ずっと在籍してきた選手、移籍してきた選手、戻ってきた選手、いろいろな選手がいた中で、心にわだかまりみたいなものがあっても、J1昇格という目標に向けて、そのわだかまりがきれいに消えて、昇格プレーオフではすべてまとまって上がれたというか…。もし1位か2位で自動昇格していたら、試合することのなかった昇格プレーオフが生んだ一体感。それはサポーターの皆さんも含めて。いるべき場所に帰ってくれはってよかったな、と本当に思います。

--最後の最後でつかんだJ1昇格でしたが、レギュラーシーズンに関しては紆余曲折があったかと思います。優勝してJ1に行く、強くなってJ1に行くという目標がある中で、厳しい戦いを強いられました。
小田 ひとつ言えるのは、大熊清監督もしばしばおっしゃっておられた「イレギュラー」ですね。柿谷曜一朗選手の長期離脱とブルーノ メネゲウ選手のシーズン途中での移籍、この2つはシーズンの中で大きなイレギュラーで、影響があったことは否めないですね。
夏場、特に前半戦最後の第21節・熊本戦 なんかは会心のゲームをして5-1で勝って、首位ともほとんど差がなくて、いけるという感じだったのが、直後にブルーノ選手が移籍することになりました。5月末頃からJ2での出場機会を掴んだ清原翔平選手も含めて、距離感がよくなっていい形になってきたという声が取材の中でも聞かれるようになっていましたし、熊本戦の前にはリカルド サントス選手が紅白戦で5得点したり、ブルーノ選手とリカルド選手のホットラインに杉本健勇選手、清原選手が絡んで、形ができてきたなというところでした。ブルーノ選手が抜けた穴が思ったよりも大きかったというのが、夏場になかなか勝てなかったということにつながったのかなと。あとは言わずもがなですが、柿谷選手の離脱ですね。


キャプテン・柿谷曜一朗選手が負傷。このあと長く戦列を離れることに。

--6月のアウェイ・長崎戦(第17節)での負傷でしたが、ここまで長くなるとは…誤算でしたよね。
和田 手術をされるというのも意外でした。
小田 復帰後の発言力や存在感を考えると、やっぱり痛かったです。僕らが言うよりも、なにより本人が一番悔しかったでしょうけど。

vol.2に続く

【出席いただいた皆さん】

前田敏勝さん(左)
Jリーグ公認ファンサイト「J’sGOAL」のセレッソ大阪担当。セレッソのオフィシャルメディアや雑誌、WEBなどで広くサッカーライターとして活躍を続けている。
和田りつ子さん(中)
元女子1級審判で、スカパー! の中継レポーターの経験も豊富。サッカーの見識、愛情ともに深い“おしゃべり屋さん”。セレッソ大阪堺レディース、ガールズも取材。
小田尚史さん(右)
『エルゴラッソ』のセレッソ大阪担当として、ホーム・アウェイの試合、トレーニングと広く深く取材を続けている。チーム愛に満ちた熱い記事が持ち味の気鋭のライター。
進行・まとめ
横井素子(まいど!セレッソ~マイセレ~編集担当)

2016年12月15日実施