「まいど!セレッソ」のオフ企画、選手別レビュー!
J1昇格を決めた2016年。選手にとってのこの1年を、日頃から取材を続けてきた番記者ならではの視点で振り返ります。


澤上竜二の2016年

「セレッソにいなかったタイプのFW」。ルーキーながら、シーズン前のキャンプで早くも首脳陣の心を掴んだ澤上竜二選手。
開幕・FC町田ゼルビア戦は残念ながら19人目で遠征メンバーから外れるも、J2第3節・ザスパクサツ群馬戦(3/12)で81分から出場しJデビュー。さらに、翌日のJ3開幕節・グルージャ盛岡戦 でもスタメンでフルタイム出場を果たす。U-23でも活動を始めた今季のセレッソならではの利点を生かした格好だ。
その後も、J2ではスーパーサブ的な存在として毎試合のように10分弱の時間を与えられるものの、なかなか得点という結果には結びつかなかった。この時期、悔しそうに「早く点を取るために頑張ります」とよく口にしていたものだ。J初ゴールは、J3でまず達成。3試合目のスタメン出場となった第16節・ガンバ大阪U-23戦(7/10)、大阪ダービー戦で盛り上がるキンチョウスタジアムでの先制弾!得意の左足から放たれたゴールは「相手にも当たってラッキーでしたが、練習どおり」と手ごたえを感じた様子だった。8/28に行われた天皇杯1回戦・アルヴェリオ高松戦 でも、チームの10得点のうちの2点目を決め、待ちに待ったJ2初ゴールは第31節・V・ファーレン長崎戦(9/11)。この試合も84分かた出場し、終了間際の90+4分に丸橋祐介選手の左サイドからのクロスに飛び込み、頭でうまく合わせた澤上らしいゴールだった。
たゆまぬ努力で信頼を勝ち取り、J2第38節・水戸ホーリーホック戦 で初スタメンに名を連ねると、チャンスをものにしてそこから最終節までの4試合中3試合に、さらにJ1昇格プレーオフの2試合もスタメン出場。前線からの守備がはまり、チーム全体の守備意識をさらに強くさせて、ラストスパートに火を点けた。最終節やJ1昇格プレーオフでは、後ろを守る選手たちを奮い立たせ、「澤上の守備は、自分たちも頑張らないと!と思わせてくれた」と言わしめるほど。長期離脱から復帰した柿谷曜一朗選手と組んだ2トップは、持ち味の違うお互いを認め合い、サポーターの皆さんからも「ワクワク感を与えてくれる」という声が多かったように思う。このコンビ、J1でも見てみたい!
今季の成績は、J2出場30試合(1得点)、J3出場3試合(1得点)、天皇杯出場1試合(1得点)、J1昇格プレーオフ出場2試合(0得点)。来年は、プレーと同じように得点数もガツガツと稼いでほしいものです。

ライターからひとこと

2013年インカレ(全日本大学選手権)得点王、2014年U-21日本代表候補、2015年ユニバーシアード日本代表と大学サッカー界を引っ張ってきた左利きの点取り屋、大阪体育大学・澤上竜二のセレッソ入り内定!というニュースが舞い込んできたのは、2015年夏。その前のセレッソでの練習参加時に彼を見ていて感じたのは、練習生らしからぬ、“泥臭く攻守両面で頑張るガツガツ感”と“得点への鋭い嗅覚”だった。
ルーキーイヤー、プロではどこまで通用するのか…。迎えた開幕前のキャンプでは、激しいFW陣のポジション争いの中で猛アピール。しかし、オフ・ザ・ピッチではプレーとは裏腹に謙虚。先輩たちからは、プレー中や普段の会話でも「りゅうじ~!」と突っ込まれ、かわいがられている。心優しく素直な性格で、爽やかな笑顔が憎めない。練習中に、柿谷曜一朗選手の華麗なシュートを真似しながらチャレンジする微笑ましい姿も…。GKキム ジンヒョン選手が澤上選手のシュート練習に付き合っている姿もよく目にした。
大学時代のライバルたちの中には、すでにJ1で活躍している選手も。次はランクアップした舞台で澤上選手が、大体大魂で培った本物のFWの存在感を見せつける番だ!

文・和田りつ子

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