「まいど!セレッソ」のオフ企画、選手別レビュー!
J1昇格を決めた2016年。選手にとってのこの1年を、日頃から取材を続けてきた番記者ならではの視点で振り返ります。


関口訓充の2016年

「自身の価値を再び証明したい」。強い意気込みで浦和レッズから完全移籍でセレッソ大阪へ加入した2015シーズン。関口訓充は右サイドハーフのレギュラーを勝ち取り、チームの中心としてJ1昇格を目指した。シーズンを通してリーグ戦31試合、2052分間プレー。J1昇格プレーオフの2試合もフル出場を果たした。熱いハートの持ち主でもあり、昇格が叶わなかったプレーオフ決勝のアビスパ福岡戦 後は人目をはばかることなく号泣。目を真っ赤に腫らした。
そんな2015シーズンを経て、並々ならぬ思いを胸に迎えた今季だが、補強によりライバルが増えたこともあり、開幕から9試合連続で途中出場。初先発は、第10節・京都サンガF.C.戦 だった。その後もスタメンを確固たるものにはできず、移籍2年目の今季は、先発7試合(総出場数は26試合)、出場時間は891分に留まった。出場時間を伸ばし切れなかった要因の1つに、負傷の多さも挙げられる。J1昇格プレーオフ準決勝を5日後に控えた11月22日には左足関節靭帯損傷で全治6週間のケガを負い、J1昇格プレーオフのピッチに立つことも叶わなかった。それでも、J1昇格プレーオフ決勝前日。松葉杖姿で練習場に現れた関口は、そのままグラウンドへ降りてピッチサイドからゲキを飛ばし、去り際に、「チームメートに気持ちは託しました」との言葉を残した。
不完全燃焼となった今季だが、1年を振り返ると、様々なポジションを務め、攻撃的な位置ならどこでも対応可能な貴重な戦力として支え続けたことも確か。2015シーズンと同様、基本は右サイドハーフだったが、左サイドハーフを務めることも多く、第26節・京都戦 では[3-4-2-1]の左ウィングバックで、先制点を奪った第28節・レノファ山口FC戦 では[3-4-2-1]の2シャドーの一角として、それぞれ先発した。
もがき、苦しんだシーズンだったことは間違いない。それでも、その時々で自身が置かれた状況でチームのために最善を尽くし、昇格のために魂を焦がし続けたこと。それは、紛れもない事実だ。

ライターからひとこと

上記の通り、様々なポジションでプレーした今季。7月の練習試合では、ボランチを務めることもあった。それでも、懸命に声を出して味方に指示を送ると、ボールは集まり、守備でも奮闘。豊富な運動量をベースに攻守に関わり続け、不慣れなポジションながらも、堂に入ったプレーを見せた。試合後、ボランチでのプレーぶりを尋ねられたので「新境地を開いたのでは?」と率直に伝えると、「ハシさん(橋本英郎)からも、『ボランチはキャリアの終盤でやっても楽しいよ』という言葉ももらった」とも明かしてくれた。
まさか公式戦では…という思いをよそに、シーズン終盤、第41節・東京ヴェルディ戦 では、途中出場でボランチでプレー。「公式戦では初」となるポジションに、試合後は思わず苦笑いを浮かべた関口だが、様々なポジションでプレーした今季の経験は、来季以降のサッカー人生において、必ずやプラスになるはずだ。

文・小田尚史

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