「まいど!セレッソ」のオフ企画、選手別レビュー!
J1昇格を決めた2016年。選手にとってのこの1年を、日頃から取材を続けてきた番記者ならではの視点で振り返ります。


キム ジンヒョンの2016年

韓国代表GKの意地にかけてJ1復帰を誓って臨んだ今季。J1リーグ39試合、J1昇格プレーオフ2試合、天皇杯1試合に出場。代表招集で不在の期間以外は、常にゴール前での圧倒的な存在感を見せてくれた。すべて1-0という接戦を制しての開幕4連勝でスタートダッシュに成功した要因は、なんといっても無失点の守備があってこそ。第2節・水戸ホーリーホック戦 では、風上からのゴールキックで柿谷曜一朗選手の今季初得点をアシスト(実はこれで3アシスト目)して、攻撃面でも勝利に貢献した。
そして、今季のジンヒョン選手を語る上で外せないのは、第18節・FC岐阜戦 から巻いたキャプテンマーク。前節のV・ファーレン長崎戦 で柿谷曜一朗選手が負傷。以後の不在となった期間、セレッソ在籍8年目にして初となるキャプテンマークを巻いてプレーした。「いつも以上にチームのことを考えてプレーした」と話す通り、4戦未勝利が続いた夏場の第28節・レノファ山口FC戦 前には頭を丸めて練習場に姿を現した。「いろいろな意味がある。(前節・横浜FC戦 の)反省というのも1つ。サポーターの皆さんに謝りたい。GKとして、キャプテンとして責任がある」。
そして、J1昇格プレーオフでもビッグセーブ連発でチームを救い、「ジンヒョン、神ってる!」と賞賛された今季。最後は自身の手でJ1復帰を勝ち取った。

ライターからひとこと

いつも練習場をあとにするのは最後の最後。メディア対応もコーチングも流暢な日本語を使い、試合や練習中の咄嗟の言葉をチェックしてみても「あっ、痛っ!」なんて言っています。2008年の来日から9年、今では監督・スタッフ・チームメイトからの信頼も厚く、今季はキャプテンとしての顔も見せてくれた頼もしい守護神。
J1昇格を決めた日、試合後のコメントでまずはフィールドプレーヤーたちを称え、チームとサポーターの皆さんのすばらしさを語り…そして、こう続けました。「2014年からずっと、悔しい思いしか味わってこなかった。昇格が決まって、ちょっとはスッキリしたかなあ」。
J1に復帰する来季は、「もっともっとやらなければ」とも誓っていました。いろいろな噂のあるオフシーズン。でもきっと、来季もセレッソでプレーしてくれると信じています。セレッソから、世界を目指してほしい!

文・和田りつ子

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