「まいど!セレッソ」のオフ企画、選手別レビュー!
J1昇格を決めた2016年。選手にとってのこの1年を、日頃から取材を続けてきた番記者ならではの視点で振り返ります。


山下達也の2016年

2006年のプロ入りから11年目。チームでは中堅だが、自身は「もうベテラン」と自覚して迎えた今季は、強靭なフィジカルと「アグレッシブにどんどん前へ行く守備」で、スタジアムの雰囲気までも変えられるDFとして、J2リーグ戦39試合(1得点)、天皇杯2試合、J1昇格プレーオフ2試合に出場。時には身体を張ったプレーが必要でケガと隣り合わせのセンターバックというポジションにありながら、シーズンを通して最終ラインからチームを支え続けた。
今季は4枚と3枚のDFラインを使い分け、センターバックの相棒も試合によって替わるという難しさもあったはず。それでも、攻撃的な両サイドバックの動きを引き出し、常にDFラインを統率し、チームに安定感をもたらした。言葉数は多くないけれど練習中に絶妙なタイミングで入れるツッコミは、試合中に見せるインターセプト、コーチングの声かけなどのタイミングのよさと重なるところも…。同期のキャプテン・柿谷曜一朗選手やキャプテンマークを巻いたキム ジンヒョン選手をさりげない気遣いでサポートする姿も頼もしかった。
リーグ戦終盤に向けて安定感を増していった藤本康太選手とのセンターバックコンビは、J1昇格にはなくてはならなかったもの。そして、長年のセレッソサポーターからすれば、大がつくほどのごちそうだったはず!ゴール前の競り合いなどで、「これぞ山下!」というプレーを何度も見せてくれた。
迎える2017年は、20代ラストイヤー。危険な相手が増えるJ1でも、危機察知アンテナを研ぎ澄まし、“クールビューティー&ワイルド”なプレーでチームを引き締め、牽引してほしい。

ライターからひとこと

今季唯一の得点は、第26節・京都サンガF.C.戦 。昇格争いのライバルに対し、今季初の3バックで臨んだが後半の4分間で3失点。しかし、そこからの3ゴールでセレッソが引き分けに持ち込んだ忘れがたい一戦だ。
山下選手のゴールは、反撃の狼煙を上げるセレッソの1点目。玉田圭司選手の蹴った右CKがファーへ流れ、こぼれ球をヘディングで決めた。試合後には、3失点については「しょうもないミスをしていたら前には進めない。上位に行くために減らしていかないと」と反省、自身の得点については「前半からチャンスはあったので、1点を取ったら流れは変わると思っていた。ごっつぁんゴールですが、得点できたことは良かった」と謙遜。ワイルドなルックスやフィジカルを生かしたゴール前での激しいプレーからは、あまり想像できないかもしれないが…。
今季は守備で光った場面が多く、攻撃面では自嘲気味だったように感じる。J1ではセレッソらしい攻撃的なサッカーを復活させ、山下にも空中戦の強さを発揮してセットプレーから得点するという彼の武器を復活させてもらいたい。そうすれば、2014年4月に日本代表候補に招集されて以来の「日の丸」も!と、期待は大きく膨らむ。

文・和田りつ子

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