「まいど!セレッソ」のオフ企画、選手別レビュー!
J1昇格を決めた2016年。選手にとってのこの1年を、日頃から取材を続けてきた番記者ならではの視点で振り返ります。


杉本健勇の2016年

2016シーズン、セレッソのなかでもっとも成長とたくましさを感じさせてくれたのが杉本健勇だった。育ってきた愛すべきクラブに2年ぶりに復帰、当初は一部のファン・サポーターから厳しい言葉を投げかけられることもあった。それでも、チームのために攻守に全力を尽くし、走りきり、そして特にキャプテン・柿谷曜一朗の負傷離脱後には、その穴を埋めるかのようにゴールを量産。そういったプレーで、勝利への強い想いで、懐疑的な空気も吹き飛ばした。
「『俺がやるんや!』と、そういう強い気持ちを持ってやろうと決めたので」と言うように、チームを先頭に立って牽引。先に3失点するなど、1-3という劣勢から2ゴールを奪い、チームに勝点1をもたらした第26節・京都サンガF.C.戦 や、肋骨を折って負傷離脱を強いられていたなか、本人の希望もあって予定よりも早く強行復帰し、途中出場で即決勝ゴールを決めた第32節・ギラヴァンツ北九州戦 など、劇的なゴールも見せ続け、チームトップ、そして自己最多となるシーズン14得点(公式戦20得点)を記録。その活躍、そしてJ1昇格プレーオフでの奮闘が、J1復帰に大きく結び付いたのは誰もが認めるところだ。
2016年末に契約を更新。2017シーズン、J1でセレッソが旋風を巻き起こすためには、やはり桜の9番を担う男の活躍が鍵になるはずだ。

ライターからひとこと

柿谷曜一朗選手いわく、杉本選手は「人一倍、二倍、もっとかな、厳しくサッカーに向き合えている選手」。そういったメンタリティーがあるからか、杉本選手のコメントからは、常に「言霊」を感じました。
J1昇格プレーオフ決勝の前、「俺が点を取って勝つ!」「俺が(セレッソに)戻ってきた意味は、明日勝つこと」と堂々と胸を張ってメディアに話す姿は、凛々しく、たくましく思えたものです。そして、J1復帰を決めた試合後のピッチでの姿にも、胸を打たれました。この成長をステップに、桜のユニフォームで再び臨むJ1の舞台でも、勇猛果敢にゴールへ向かう杉本選手のプレーを、ファイティングスピリットを、存分に発揮してほしいものです。

文・前田敏勝

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