苦しみながらもJ2リーグを4位で終え、再び挑んだJ1昇格プレーオフ。そして、つかんだJ1への切符…紆余曲折あった2016シーズンを、今年も「セレッソ番」のお三方が振り返ります。
最終回となる今回は、2017シーズンにぜひ期待してほしいオススメ選手を前田敏勝さん、和田りつ子さん、小田尚史さんにご紹介いただきます。 
出席いただいた3記者profile 
2016番記者座談会

話し出すときりがない!2017年、期待する選手

--では、2017シーズンの期待する選手をそれぞれ上げていただけますか?
小田 直球ですけど、柿谷曜一朗選手、山口蛍選手、杉本健勇選手。柿谷選手と山口選手は2013年にJ1でブレイクしたというか、完全に実績は積んだので、臆することなくやってくれると思うんですが、2016年に2人に並ぶぐらいの活躍があった杉本選手は、今度はJ1で見せてほしい。まだ1年を通してJ1で活躍したシーズンはないと思うので、柿谷、山口両選手に杉本選手が加わり、さらに丸橋祐介選手、松田陸選手らロンドン五輪世代の選手が本当の意味で中心になって、強いチームを作り上げていただきたいです。

「ロンドン世代」の象徴でもある山口蛍選手。
セレッソ復帰2シーズン目となる2017年も、チームの要となるはずだ

前田 その3選手が本当に引っ張らなきゃいけないと思います。この2年をJ2でやっていたうっぷんをJ1で晴らして、日本代表監督にも「やってるぞ」というのを見せてほしいです。DFでは、脂の乗り切ったセンターバックの2人、藤本康太選手と山下達也選手に期待したいです。この2年は大変な思いもしたと思うんですけど、能力の高い選手ということは確か。茂庭照幸選手は常々「2人は将来、ずっとセレッソを背負って立つ」と言い続けています。今もっともいい時期に来ていると思いますし、マテイ ヨニッチ選手 などセンターバックの補強もありましたけど、この2人がDFラインの中心になって、支えていってほしいなと思います。
和田 私は期待を込めて、澤上竜二選手に頑張ってほしいと思います。杉本、柿谷の両FWに割って入っていかないといけない選手ですし、性格的にも誰にでもかわいがられるタイプ。大学時代には点を取ることに長けた姿を見せてもらっていたのですが、2016年はらしいプレーが少なくて、ちょっと残念でした。シーズン終盤には少しなじんできた感もありましたから、2017年は期待したいです。ユニバーシアード代表でも活躍していた澤上選手には、もう一皮むけてほしい。ぜひJ1でアピールしてほしいですし、開幕スタメンを狙ってほしいです。
小田 2016年に悔しい思いをしたという点では、丸岡満選手にも期待したいですね。相当期待されましたから、本人は悔しかったと思います。しっかり走れる選手なので、尹監督の下でまた新しい気持ちでやってほしいです。JリーグYBCルヴァンカップもあるので、チャンスも出てくると思います。
前田 ルヴァンカップでは若手選手の出場機会を増やすための年齢制限枠ができるという話もあるし、そうなればまた違う楽しみが出てきそうです。
和田 尹監督の下で、パワーアップしたキム ジンヒョン選手も見たいです。
小田 J1昇格プレーオフの2試合を見ても、ジンヒョン選手抜きでは考えられないですもんね。
前田 忘れてはいけないのは、清原翔平選手。彼がJ1の扉を開けたという事実は、記憶にとどめておきたいです。


献身的なプレー、謙虚な姿勢…地道にステップアップし、J1の扉を開いた清原翔平選手

和田 もちろんご存じだと思いますが、清原選手はJFL、J3、J2、そしてJ1とステップアップしてきたすごい選手。サッカーの神様は見捨てないんですね、こういう人を。(J2ツエーゲン金沢から)セレッソに移籍してきた、2016シーズンのスタートはJ3でキャプテンマークを巻いてプレーしてました。そこから自分の力でポジションを勝ち取って、最後はJ1昇格へ導いたんですから!(選手別レビュー参照
小田 2016年最初のキャンプの紅白戦では、Bチームにも入れなかったですからね。そこからスタートしての、J1ですから。
和田 でも清原選手は、どんな状況でも一切文句を言わなかったし、くさらなかった。なんてすごい人なんだと思いました。
前田 JFLでもJ3でも、J2の金沢でも、決してステップととらえるのではなく、「自分はここでやっているのが幸せなんだ、ずっとやってきたからこそ今があるんだ、ということを忘れずにいる」とコメントをしていました。それがすごいなと思います。J1ではオールドルーキーになりますけど、楽しみですね。
和田 森島(寛晃)さんの背中に、どこか似ているんですよね。
前田 似ていますね。
小田 とにかく走るんですよ、ボールがあるところに清原あり、みたいに。
前田 気がついたら、体のどこかに傷やあざがある。でも平気でやれる。みんなにいじられてもね。
小田 ヘディングも強いです。
和田 グラウンドでは大きく見えます。小柄なのがハンデになっていないです。アカデミーの選手たちにも勇気を与えるのではないでしょうか。回り道をしても頑張れば、と。
前田 選手1人ひとりの話をしはじめると、尽きないですね(笑)
小田 そうなんですよ。いろいろなことがありましたからね。関口訓充選手もいろいろな思いの中で、気持ちを切らさずにやっていました。
和田 山村和也選手もですよ。
前田 田中裕介選手についても、いろいろお話したかったんですけど…。

--お話は尽きないので、それは『選手別レビュー』のほうでたっぷりお書きいただき、サポーターの皆さんにご紹介ください!今日はどうもありがとうございました。


【出席いただいた皆さん】

前田敏勝さん(左)
Jリーグ公認ファンサイト「J’sGOAL」のセレッソ大阪担当。セレッソのオフィシャルメディアや雑誌、WEBなどで広くサッカーライターとして活躍を続けている。
和田りつ子さん(中)
元女子1級審判で、スカパー! の中継レポーターの経験も豊富。サッカーの見識、愛情ともに深い“おしゃべり屋さん”。セレッソ大阪堺レディース、ガールズも取材。
小田尚史さん(右)
『エルゴラッソ』のセレッソ大阪担当として、ホーム・アウェイの試合、トレーニングと広く深く取材を続けている。チーム愛に満ちた熱い記事が持ち味の気鋭のライター。
進行・まとめ
横井素子(まいど!セレッソ~マイセレ~編集担当)

2016年12月15日実施