「まいど!セレッソ」のオフ恒例企画となった「選手別レビュー」。
実り多きシーズンの終わりに、番記者が思いを込めて各選手たちの活躍を振り返ります。


松田陸の2017年

 セレッソ大阪へ加入した2016年、チーム唯一のリーグ戦全試合出場を果たして桜の右サイドバックとして欠かせぬ存在になると、J1で迎えた2017年もリーグ戦34試合中31試合に出場。シーズン序盤は途中交代となる試合も少なくなく、田中裕介とのレギュラー争いが過熱した時期もあったが、「紅白戦で控えに回っても、自分を出して積極的に取り組む姿勢はすごいと思う。こういう選手がセレッソにいてくれることが強み」とキャプテンの柿谷曜一朗も称賛した持ち前の反骨精神で這い上がり、シーズンが進むにつれて逞しく成長。右サイドで縦関係を作る水沼宏太とのコンビはセレッソにとっての大きな武器となった。
 その存在がひときわ輝いたのが、開幕前に「対戦するのが楽しみ」と話していた古巣・FC東京戦。ホームでの第17節 では1-1で迎えた63分に勝ち越しゴールを、アウェイでの第25節 ではチームを勢い付ける先制ゴールを、いずれも水沼のパスを受けて決めた。
「セレッソに来て1年目でJ1に復帰させることができて、今年はルヴァンカップと天皇杯でタイトルが獲れた。これまで、試合に出られない時もひたむきに努力してやってきた結果が、こうやって実になってうれしい」。そんな充実感漂う言葉とともに、今季を締めくくった。

ライターからひとこと

「大舞台や注目される試合に強い」。2年間、松田選手を取材してきた記者としての印象です。前述のとおり、ホーム、アウェイともに古巣からゴールを奪ってみせたこともそうですし、第5節の横浜F・マリノス戦 では、開幕からキレキレの活躍を見せてきた齋藤学選手をシャットアウト。試合前の「いい選手だけど、抑えることができたら自分の評価にもつながる」という言葉を現実のモノにしました。
 そういった物怖じしない発言は、ルヴァンカップ決勝 の前も同じ。「川崎フロンターレには(直近の)リーグ戦で完敗したけど、そこから負けなしでここまで来ている。この決勝で叩くしかないでしょう。最高のストーリーを作ってやりますよ!」。そんな勇ましい言葉を私たち報道陣に残してくれました。負けん気が強く、根性が据わったナイスガイ。それが、松田陸という男です。

文・小田尚史

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