「まいど!セレッソ」のオフ恒例企画となった「選手別レビュー」。
実り多きシーズンの終わりに、番記者が思いを込めて各選手たちの活躍を振り返ります。


山村和也の2017年

 尹晶煥監督はシーズン前、山村和也選手のトップ下での起用を試していました。前線からの守備ができることに加え、186cmの長身でジャンプ力もすばらしく、ポストプレーだけでなくサイドに流れてクロスを上げたり、他の選手とのコンビネーションで崩したりすることもできる選手。キャンプ中の練習試合でアシストを連発して、監督の期待に応えて見せました。
 シーズン中にケガで2度の離脱がありましたが、スタメン出場したJ1リーグ戦25試合のうち23試合がトップ下、ボランチでは2試合のみ。そして、チーム2位の8得点を挙げています。開幕の磐田戦 はサブメンバー、第2節・浦和戦 で途中出場、そして第3節・札幌戦 から先発メンバー入りしてレギュラーの座を掴み、第4節・鳥栖戦 で挙げた今季初ゴールが決勝点、その後は前半戦だけで7得点!「和也くんが決めたら勝利する」と杉本健勇選手がちょっとうらやんだほどで、FWとして刺激を受けたに違いありません。
 勝利を目前にして逃げ切りをはかる尹晶煥監督が3バック(5バック)を指示、すると山村選手がセンターバックに下がってプレーするのも、シーズン中の見慣れた光景になりました。メンバー交代を必要とせずにシステム変更ができるのは、今季のセレッソの強み。山村選手も「プレーの幅も広がりました。もっと成長して、チームの勝利に貢献したい」と、マルチロールプレーヤーの役割に前向きでした。天皇杯決勝 では、杉本選手がケガで不在のため1トップで出場。同点ゴールに決勝ゴールのアシストと、まさに大車輪の活躍でチームに2冠目をもたらしました。

ライターからひとこと

「えっ!トップ下って大丈夫!?」→「ちょっとおもしろいよね」→「案外ハマるね、うまいよね」→「ここまでやれるとは!」→「必要不可欠!!」。失礼ながら、取材しながら今季こんな感じで変わっていった山村選手への印象。
 FWに入る際には「1トップとトップ下では求められることが違う。監督の求める役割ができるように、周りの選手たちの個性も考えてプレーしています」と、DFに変わる際には「勝っている試合の一番大事な局面が多いので、リスクを避けながら失点しないように、経験してきたことを活かせたら」
と、知的さを感じさせるコメント。かと思えば、紅白戦でほかの選手が途中で離脱しているのにも「気付いていませんでした(笑)」と天然キャラなところも…。年齢が近い選手が多いセレッソでは、その天然ぶりをイジられたりもするのですが、2年目の今季はそのイジリを笑顔でかわす場面も増えました。
 天皇杯決勝を前にしても、「タイトルを獲るという経験を、今季は2回もできる。喜びをまた味わいたいです」と淡々と答えていました。でも、同点ゴール後の笑顔はやりがいと自信に満ちあふれて!!…そう思いながら見ていたのですが、試合後のセレモニーで登壇するときは、列の後方で。そんなところも山村選手らしかったですよね^^

文・和田りつ子

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