「まいど!セレッソ」のオフ恒例企画となった「選手別レビュー」。
実り多きシーズンの終わりに、番記者が思いを込めて各選手たちの活躍を振り返ります。


山口蛍の2017年

 セレッソ大阪U-18以来となる「10番」に袖を通した今季。開幕前は「8番(柿谷曜一朗)と9番(杉本健勇)を支える、黒子の10番になります」と宣言。「どの対戦も楽しみ」と話すなど、勇躍して迎えた3年ぶりのJ1で、山口蛍はまさに「黒子」として中盤で粉骨砕身、味方のためにプレー。走行距離は毎試合のように両チーム合わせて上位に顔を出し、相手ポゼッション時のスプリント回数はチームで最も多い数を記録した。セレッソにとってピンチになりそうな場面で、猛ダッシュで戻ってきた山口がその芽を摘み、事なきを得たシーンが頭に浮かぶサポーターの方も多いはず。
 日本代表でのプレーと並行しながら、リーグ戦では開幕から第32節まで先発フル出場を続けたそのタフネスぶりには、あらためて舌を巻く。尹晶煥監督からの信頼も厚く、メンバーを入れ替えながら戦うことも多かった天皇杯においても、準決勝・ヴィッセル神戸戦を除く5試合に出場。2回戦、3回戦、準々決勝ではキャプテンマークを巻いて、チームの勝利に貢献した。
 シーズン終了後には、2013年以来となる自身2度目のJリーグベストイレブンも受賞。2冠獲得も含め、クラブ史上最高のシーズンとなった今季、チームを献身的に支え続けた彼の奮闘ぶりは、改めて称賛されて然るべきだろう。

ライターからひとこと

 1対1での守備の強さ、ボール奪取能力、前への推進力、それらを兼ね備えた山口選手とソウザ選手のダブルボランチは、今季のJリーグ全体を見渡してもナンバーワンの強度を誇るコンビだったと言えるでしょう。
「ソウザも自分も前に行きたいタイプではあるけど、なるべく自分が真ん中に残ってバランスを取る役割を心がけた。隣にいる自分がコントロールして、(ソウザに)好きにやらせてあげることも大事。比較的うまくできたと思います」
 そんなふうに2人の関係性を語った上で、「ソウザもバランスを考えてくれて、自分もやりやすかった」と相棒を称えることも忘れない山口選手。真ん中がしっかりしているチームはやはり強いです。日本代表でも主軸を担う彼が、“当たり前のようにチームにいる”という事実のありがたみを感じた1年でもありました。
 2018年は、リーグ戦、ルヴァンカップ、天皇杯に加えてACLもあり、FIFAワールドカップも控えています。「4年前の経験を生かしたい。うまくケアしながら1年間をタフに戦いたい」。そう話す山口選手の活躍が、今から楽しみです。

文・小田尚史

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