自分が一番好きなチームはセレッソ
「行ってよかった」と思ってもらえるような活躍を!

南野拓実(ザルツブルク)

 移籍決定は突然のことだった。今年1月6日の早朝、「南野拓実選手がオーストリア・ザルツブルクへ完全移籍」のニュースリリース、と同時に出発。サポーターに直接メッセージを伝える時間もないままのあわただしい「お別れ」になった。
 5月から6月の舞洲は、ヨーロッパでプレーするOBたちでにぎわった。かつてのチームメイトと楽しげに語り合ったり、同じピッチで汗を流したり…そんな輪の中に、南野拓実選手の姿もあった。古巣に帰ってきた南野選手に、半年ぶりに話を聞くことができた。海外挑戦の手ごたえ、リーグ優勝の喜び、そしてセレッソ大阪への思いがつまったインタビューをどうぞ…。
Vol.3【前編】よりつづく


■南野選手は、U-18時代から海外に行く経験をしていたこともあって、早くから「海外へ」という思いを持っていました。
ハナサカクラブでサポートしてくださった皆さんのおかげで、海外遠征などの経験を積ませてもらったことで、海外に行きたいという思いは強くなりました。だからこそ、行くからには、海外にあこがれるきっかけをもらったハナサカクラブの皆さんにも、『拓実は行ってよかった』とちょっとでも思ってもらえるように、頑張って来たいと思います」

■今までセレッソは、香川真司選手から柿谷曜一朗選手まで、海外に挑戦する選手はセレモニーをして送り出してきました。今回、サポーターの皆さんは少し寂しかったかもしれません。

「いや、僕は…もし、話をいただいたとしても、そこで堂々とスピーチできないなと思っていたんです。ずっとセレッソで育ててもらったのに…何も返せていない。『すみません、すみません、申し訳ないです』としか言えなかったと思います。でも、自分は行きたい…ホンマ悩みました。自分勝手かもしれないけれど、それぐらいいろんな気持ちがありました」

■いろいろな気持ちがあった中で、今回帰国してどうでしたか?
「舞洲に練習に行ったときも、サポーターの皆さんが『お帰り』と温かく言ってくれて、すごくうれしかったです。このチームが僕の育ったチームで、やっぱり一番好きなクラブやなとすごく実感しました。
最初は、僕が舞洲に行っていいのかな、と思いました。『行ってもいいですか?』とチームのスタッフに聞いて、手土産を持って行かせてもらいました(笑)。自分だけ何をそんなに緊張してたんやろうと思うぐらい、みんな僕が今もセレッソにいるかのように接してくれました。だから自分もメッチャ気持ちがリラックスして…行ける日は毎日舞洲に行ってました。舞洲のグラウンドはマジで落ち着くし、ホンマに家に帰ったみたいな感覚でした」

■今後の目標を聞かせてください。
「自分は今のチームで終わるつもりはないですし、もっと上を目指してやっていこうと思います。そのためには、今のチームで活躍することが必要になる。来シーズンはチャンピオンズリーグの可能性もあるし、そういう大舞台で、皆さんに元気にサッカーしているよ、というのを少しでもわかってもらえるように、活躍していきたいと思います」

■セレッソのサポーターの皆さんへのメッセージを。
「セレッソで育った選手として、セレッソで育ったことをすごく誇りに思いますし、海外に移籍しましたけど、帰ってきたらすごくいいチームだと思います。それはサポーターの皆さんのおかげでもあります。今セレッソはJ2で苦しい状況かもしれないですけど、チーム・サポーターがひとつになれば、絶対に乗り越えられると思います。僕も応援しています。そして、僕も頑張ります!」


■終わりに
インタビューは、徳島戦のキックオフ前にキンチョウスタジアムで行った。スタンドからピッチと観客席を見て、「わー、懐かしいなぁー」ともらした声の屈託のなさ。帰国して舞洲に行っていいのか、ためらったという言葉。セレッソが大好きだということ、それなのに自分はそのチームに何も残せなかったという申し訳なさ、いろいろな思いが交錯したインタビューになった。
「ザルツブルグに行ってよかったと思うか?」との質問には、「はい。行ってよかったです!」。
インタビューの終わりに、「いつか、セレッソに帰ってきてくれたらうれしいな」と言うと、「はい。もちろん!」。いずれも即答だった。 いろいろな経験をして、さらにスケールの大きなプレーヤーになって、いつかまたセレッソで…楽しみが1つ増えた思いだ。

構成・文 横井素子
インタビュー:6月21日