今シーズン、セレッソ大阪の指揮を執る尹晶煥監督。2000年から3シーズンは選手としてセレッソに在籍、韓国代表としても活躍したファンタジスタであった。華麗なパスで攻撃陣を操るプレーを記憶している人も多いだろう。
指導者としては厳しいトレーニングで鳴らす氏が、セレッソにもたらすものとは?期待が集まる新監督に話を聞いた。
Vol.19【前編】よりつづく


■始動からここまでのチームづくりは、順調でしょうか?
「少し時間が足りないかなというのは感じますが、でも大きなケガ人がなく、順調にきていると思います」

■スタートからはフィジカル、そして守備のトレーニングに時間を割いてきました。
「はい、思った以上に順調にできていると思います。もちろん守備だけではなく攻撃においても発展させないといけないと思っています。なので、もっと時間がほしい、時間が短いかなと思います(笑)。もう2週間ぐらい時間がほしいです」

■昨季のセレッソ大阪の試合はご覧になりましたか?
「2、3試合は見ました。J1昇格プレーオフでしたので、昇格しようという強い意思を感じました。戦術的にはなんとも言えませんが、気持ちはすごく感じた試合でした。戦術は自分が評価するものではないと思いますので…」

■守備のトレーニングから着手されましたが、やはりそこが大事だと?
「自分のサッカーの価値観があるので、このやり方でチームを作っています。守備の組織はすぐに作れるものではありませんが、失点は防がないといけません。今後、もっと守備の意識は高めないといけません。もちろん攻撃もトレーニングしないといけないのですが、攻撃については、どんな形でも点は取れると自分は信じています」

■能力の高い選手が多いということでしょうか?
「そうですね、そういうふうにも言えます。どのチームにも90分に1度はチャンスが来ます。そのチャンスにしっかりと決めて、失点しなければ試合に勝つことができます」

■セレッソの選手に印象については?
「すごく明るくて、すごくサッカーが好きな選手が多いですね。個人の能力も、昔よりも高いなと感じます」

■セレッソは育成型クラブを標榜していて、アカデミーから育ってきた選手をトップで…という方針があります。
「どのチームでも、未来のために若い選手を育てていくのは当たり前だと思います。それをクラブが上手にやっていると思いますし、それを監督である私自身がどう育てていくかがすごく大事だと思います。今年の場合はカップ戦(ルヴァンカップ)がありますので、それをうまく利用して、若手の選手たちに経験をさせていければと思っています」

■始動後に、清武弘嗣選手の加入が決まりました。
「大きな選手が合流してくれたと思います。きっとチームに大きな影響を及ぼしてくれると信じています。本人も日本に帰ってきたからには、もっと頑張ってくれると思います。個人的には、彼がさらに活躍できるようにサポートしたいと思っています。もちろん清武選手だけではなく、他の選手についてもそうですが…特定して1人の選手についてそんなことを言うのはどうか、とは思いますが、能力のある選手なので、頑張ってくれると信じています」

■開幕戦がだんだん近づいています。J1に復帰したセレッソは注目されていますが、どんな試合にしたいですか?
「久しぶりにJ1に復帰して、選手たちもすごく緊張すると思います。その緊張感をどれくらい早く解消できるかが大事です。そしてJ1という舞台に久しぶりに立ちますので、J1のレベルを選手たちがいち早く感じられたほうがいい。そうしたら、もっといい試合ができると思います。
試合はずっと続くので、初戦だけでなく次の試合も大事な試合になります。私もすごく緊張すると思いますが、今の選手たちの雰囲気を見ていると、明るく開幕戦を迎えるだろうと思います」

■今シーズンの目標は9位とのことでした。それは変わりないですか?
「もっと上を目指せるんだったらいいですね(笑)。前期に9位以内に入るのが目標で、9位以下ならもっと努力しなければなりません。もし9位以内に入っていたら、もう少し上に目標を設定し直さなければならないなと考えています」

■サポーターの皆さんも私たちも、OBとして初めて監督としてチームに帰ってきてくださった尹監督とタイトルが獲りたい、いい思い出を作りたいと願っています。
「私がセレッソの選手だったころのサッカーを覚えている人は、今のセレッソのサッカーはおもしろくないと思われるかもしれませんが、これから発展していけると自分は信じています。サガン鳥栖というチームもそういうふうに発展させましたし、今いる選手は私が選手だった当時より上回っています。もっと発展できる要素はある、そう信じています。我慢強く見守っていただければと思います」

構成・文 横井素子
インタビュー:2月7日@宮崎キャンプ