6月8日(水)2016明治安田生命J2リーグ第17節
V・ファーレン長崎 - セレッソ大阪 (19:00KICK OFF/長崎県立)
試合写真・コメントなど チケット
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 2度のJ1昇格プレーオフ進出を成し遂げた「堅守速攻」から、J1昇格を勝ち取るために積極的な補強を展開し「より得点にこだわる」スタイルへと転換を打ち出した今季のV・ファーレン長崎。だが、チームとしての意思統一が不十分なままシーズンに突入し、一時は最下位にまで沈む状況へと陥ってしまった。チームはこの状況を受けて、5月中旬から3-4-2-1のシステムを3-5-2へと変更し、選手の役割が明確なスタイルへ軌道修正。これにより失点・得点ともに改善が進み、システムチェンジ以降は2勝2分。ようやく追撃態勢へと入ってきた。

 そんな長崎で絶対的な得点源となっているのが、今季、セレッソから長崎へ加入した永井龍だ。
「セレッソでプレーしていた頃はうまい選手に囲まれていたこともあって、自分は泥臭くゴールを狙うことが多かったんですが、長崎ではいろいろなプレーにチャレンジしています。ドリブルで仕掛けることも昔より増えているし、FWとしての幅は広がったと思います」
 そう語る永井は、ここまでのリーグ戦全試合に出場し8得点。前節・FC岐阜戦ではプロとなって初めてのハットトリックを達成しており、心身ともにキャリア最高の状態にあると言って良い。
「選手の質はリーグの中で突出している」と高木琢也監督が評するセレッソとの戦いでも、永井の活躍がそのまま結果に直結するはずだ。

 そんな永井、やはりU-15時代から12年間所属したセレッソとの試合は特別なものだと言う。
「扇原貴宏や杉本健勇とは中学生の頃から一緒にプレーしてきたし、ずっとお世話になってきたスタッフもいる。あのピンクのユニフォームと対戦する時、自分が舞い上がっているのか落ち着いているのか、どんなプレーをしているのか・・想像がつかないですね」そう語る永井の顔にはセレッソへの深い愛情と感謝があふれている。

 だからこそ、この一戦に賭ける思いは誰よりも強い。「個人的に特別な感情もあるけれど、今は長崎の選手として、戦って勝ちたいという気持ちが本当に強いです」。
「僕の中にはピンクの血が流れている」。かつて自身をそう語った男が、長崎の選手としてセレッソに勝ちにいく。そこに、もはやためらいはない。今回のゲームで永井は、セレッソのサポーターにとって懐かしく、しかし新しい「長崎の龍」となった姿を見せてくれるはずだ。

文・藤原裕久