10月30日(日)2016明治安田生命J2リーグ第38節
セレッソ大阪 - 水戸ホーリーホック (14:00KICK OFF/金鳥スタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 今節、キンチョウスタジアムに乗り込むのは水戸ホーリーホックだ。現在14位に位置している水戸は、すでにJ1昇格プレーオフ圏内入りの可能性はなく、J3降格の可能性も低い。それゆえ、チームとしてモチベーションを保ちにくいと思われがちだが、そんなことはない。現在、過去最高順位である「13位(J2が22クラブになって以降)以上の順位に行くこと」と「勝点50(現在43)」を目標に掲げ、チーム一丸となって達成に向けて取り組んでいる。
 そして、ホームスタジアムの収容人数の問題でJ1クラブライセンスを取得できていない状況を変えるためにも「1つでも上の順位に行って可能性を示さなければならない」(兵働昭弘)という強い意気込みを持ってシーズン終盤を迎えている。中位に甘んじている現状を打破するためにも、今節セレッソ大阪戦で勝利して弾みをつけようと鼻息荒く大阪に乗り込むこととなる。

 直近2試合は、8位・横浜FCと6位・京都サンガF.C. という上位チームとホームで対戦。試合はいずれも1-1で勝利を逃した。ただ、内容に関しては「悲観する必要はない」と西ヶ谷隆之監督が言うように、2試合とも上位相手に主導権を握り、多くのチャンスを作り出した。決定力を欠き、1得点しか取れなかったこと。さらに相手に与えた少ないチャンスを決められてしまったことで勝利を逃したものの、前から厳しくプレッシャーをかけて、高い位置でボールを奪ってから攻撃のコンビネーションを生かして相手ゴールに迫るという「水戸らしさは出せていた」(西ヶ谷監督)。あとはそれを結果につなげるのみ。今節、アウェイとはいえども、やるサッカーを変えることはない。あくまで水戸らしく、攻守にアグレッシブなサッカーを貫くだけである。

 現在、水戸をけん引しているのが、白井永地と湯澤洋介のタイプの異なる両サイドMFだ。本職がボランチの白井は、柔らかなボールタッチと絶妙なポジショニングで相手の中盤とDFのギャップで起点を作り、チャンスを誘発。そこからさらにゴール前に入り込んでいってゴールを狙う。シーズン途中からレギュラーに定着し、これまで4得点を挙げる活躍を見せている。そして、水戸の攻撃の最大の武器は、湯澤の左サイドで魅せるキレのあるドリブル突破だ。前節も京都の守備を何度も切り裂き、チャンスを作り出していた。今節もセレッソDFに襲い掛かることだろう。

 堅守も光っている。細川淳矢と福井諒司のセンターバックコンビは堅固で、2人の息の合った守備でチームに安定をもたらしている。ちなみに福井はU-15、U-18とセレッソのアカデミーで育った選手。今節に向けて、相当強い意気込みを持っていることだろう。

 セレッソとの前回対戦(第2節)では、前半終了間際のゴールキックから抜け出された柿谷曜一朗に決勝ゴールを決められ、0-1で敗戦を喫した。クラブ史上最多観客動員となった一戦に水に差されただけに、水戸にとってリベンジの思いは強い。
 さらに、セレッソサポーターの記憶に鮮明に残っているのは、やはり昨年の対戦(第33節)ではないだろうか。1-2で迎えた試合終了間際、鈴木雄斗(現山形)のミドルシュートが決まり、水戸が土壇場でドローに持ち込んだ一戦だ。決して華麗なサッカーではない。しかし、運動量と泥臭さ、粘り強さで相手に負けることは許されない。それが水戸の矜持である。
 昨季の対戦で見せたその執念を発揮して、今回は勝利を狙う。覚悟しておいてもらいたい。

文・佐藤拓也