12月4日(日)2016 J1昇格プレーオフ決勝
セレッソ大阪 - ファジアーノ岡山 (15:35KICK OFF/金鳥スタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 岡山はJ1昇格プレーオフ準決勝・松本戦で、90+2分、赤嶺真吾がゴールを決めて決勝に駒を進めた。前半23分の岡山・押谷祐樹の先制点から、74分に松本がセットプレーから1点を返す展開。このままではJ1昇格プレーオフ敗退となってしまう1−1のスコアになった時、ボランチの関戸健二は、「逆に落ち着いたところはあった」と話す。岡山はリーグ戦を6位で終え、7位の町田と同じ勝点だったが得失点差で昇格プレーオフに滑り込んだチャレンジャーだ。こんな時にこそ、挑む者としての強みが発揮された。
 
 長澤徹監督にとって、4つ年上の大熊清監督との対戦はどのようなものか。大熊監督は99〜01年、J2に加入したばかりのFC東京の指揮を執り、長澤監督は01年から同コーチに就任。その後、大熊監督が10年9月に再びFC東京監督となった際、長澤監督は同コーチに再任された。長澤監督はこう話す。「経験のある人だから、僕のことは見えているだろうと思う。でも一緒にいたから、僕が見えているものもある。それで勝負するしかない」。

 この決勝カードにひときわ深い思いを抱いている選手がいる。セレッソ大阪U-15、U-18で中学から高校時代の途中までを過ごしたDF篠原弘次郎だ。「個人的には一番やりたい相手で、一番負けたくない相手」と語る。「良いチーム相手の厳しい戦いで、いい子ちゃんでプレーしても仕方ない。『暴れん坊だな』っていうくらいのプレーをして、良い意味で変わってないなとか、良い意味で本物の暴れん坊になったな、って思われたいです」。

 岡山はタレント揃いのセレッソに、まずは「やりづらさ」を感じさせることが大切だ。そしてもっと大切なものは、セレッソのハングリー精神に敬意を表すことだろう。彼らがどれだけJ1に戻りたいか。その思いを越えて、自分たちのJ1に行きたい気持ちが勝るか。「ファジアーノ岡山としてはこの機会を絶対に逃してはいけないと思います」と豊川雄太。「ここまで来て、勝つか勝たないかでは全然違いますから」。

 岡山は松本で、挑む者としての強みをしっかりと表現できた。それはこの試合ではもっと難しくなるはずだ。しかし岡山には最後まであきらめないという「当たり前」を続けて、冷静に「ワンチャンスはあると思っていた」という赤嶺のゴールに象徴される、組織としての強さがある。 

以上
文・尾原千明