4月16日(日)2017明治安田生命J1リーグ第7節
セレッソ大阪 - ガンバ大阪 (14:00KICK OFF/ヤンマー)
試合写真・コメントなど チケット
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『34分の1試合』。
 チームの大黒柱、MF遠藤保仁は過去、何度もこの言葉を繰り返してきた。「どんなチームを相手にしようとも、常にどの試合も大事だし、どの試合でも勝ちたい」という意味を込めて、だ。

 もちろん、プロ20年目というキャリアを誇る遠藤のこと。『大阪ダービー』に漂うサポーターの熱も、期待も、十分理解している。だが一方で、長いシーズン、34試合で答えが出る長丁場のリーグ戦において、どの試合に対しても温度差があってはいけないこと、それが最終的に『タイトル』につながることを知っているからこそ、『大阪ダービー』を前にしても「34分の1試合」だと冷静に向き合ってきたのだろう。

 そんなキャプテンの考えに感化されてか、今回、3年ぶりに実現する『大阪ダービー』についても、正直、選手たちに『大阪ダービーだから』勝たなければいけない、という意識はない。ただJ1リーグ第6節のサンフレッチェ広島戦に0-1で敗れ、11日にアウェイの地で戦ったACLグループステージ第4節・江蘇蘇寧戦に0-3と完敗を喫した流れを断ち切るためにも、ここから先の戦いに向けて今一度自分たちの戦いを取り戻すためにも、勝たなければいけない、勝ちたいという思いは強くある。MF井手口陽介は言う。
「ファン・サポーターの方たちの『大阪ダービー』に対する期待やライバル意識は理解していますが、僕自身は、正直、そこまで特別な意識はありません。でも、ここ2試合、自分たちが勝っていない流れを断ち切って、応援してくれる人を喜ばせるためにも、絶対に勝ちたい。そのために90分を通してアグレッシブに戦いたいと思います」

  そうした『勝ち』への欲をピッチで示すため、過密日程の中でも気持ちを切らさず、ガンバは準備を続けてきた。その中でケガからの復帰が濃厚なMF倉田秋は、かつては期限付き移籍で在籍(2011年)した古巣との対戦を前に「セレッソでの1年があったから今の自分のプレースタイルができたという意味では、すごく感謝している」としながらも「ここ2試合、減ってきているアグレッシブさを取り戻すことで勝ちに行く」とコメント。
 また、移籍後、初先発の可能性もあるFW赤﨑秀平も「今、チームはボールの動かし方などいろんなことを成熟させている段階ですが、その中で1人1人が打開する気持ちは持たないといけないと思っているし、出場すればそこは意識して戦いたい」と意欲を燃やす。唯一、アデミウソンについては13日のトレーニングでも別メニュー調整が続いており出場が不安視されているが、それ以外のメンバーは自身の役割、チームへの献身性を心に据えて、いつも通り、勝利を見据えてピッチに立つことだろう。

 もっともそうは言っても、いざピッチに立てば、サポーターが作り上げる独特な空気感、熱気を肌で感じ、自然と湧き上がる感情があるのも『大阪ダービー』であるはずだ。それがどんなプレーになって表れるのか。今はそれが楽しみでならない。

文・高村美砂