5月3日(水・祝)JリーグYBCルヴァンカップ第4節
サンフレッチェ広島 - セレッソ大阪 (14:00KICK OFF/Eスタ)
試合写真・コメントなど チケット
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「相手どうこうではなく、自分たちがどう戦うか」
 サンフレッチェ広島・森保一監督は、いい時も悪い時も、同じ言葉を口にする。ペトロヴィッチ前監督(現浦和レッズ)就任以来、脈々と受け継がれている主体的な広島サッカーが根付き3度の優勝に繋がっていることが、この自信の裏付けだ。

 だが、その「広島のサッカー」が今、揺らいでいる。
「単純なミスが多い」とかつての広島の10番・髙萩洋次郎(現FC東京)に指摘を受けるほど、持ち味であるポゼッションの精度を欠く。それでもFC東京戦では52%のボール保持率を示しているのだが、プレスをあざ笑い、相手を釣り出しておいてスペースをつくるようなボール回しは、できていない。まして若い選手で構成してきたルヴァンカップのチームの場合は、その傾向が顕著で、第3節・神戸戦ではボールを運ぶ過程でカットされ、カウンターから次々とピンチを招く。前半だけで4失点をくらってしまい、試合を決められてしまった。

 守備の破綻は攻撃の未成熟との表裏一体。広島の苦戦は、多くの場合、攻撃にその要因が求められる。シュート数ではJ1リーグでナンバー1。だが、得点はわずかに6点とリーグ17位に低迷しているのは、チームとして相手の広島対策を完全に崩せていないままシュートを撃っている証明だ。その傾向はルヴァンカップでも同様で、ここまで3試合で2得点。チャンスはそれなりにつくっているのだが、ゴールネットをなかなか揺さぶれない。それが現実である。

 リーグ戦から中2日で迎えるこのカップ戦。メンバーをどうするか、その判断は難しい。これまでのようにほぼ全選手を入れ替えて若手主体で臨むのか、それともリーグ戦に出場しているメンバーをあえて投入するのか。
 現在、グループリーグ3位の広島は、2位・セレッソ大阪と勝点1差。十分に上を狙える位置にあり、そして現実としてまだホームで勝利していない。実際、アンデルソン ロペスは「FC東京戦の敗戦は悔しいが、ルヴァンカップのために切り替えないといけない」と意欲を示し、水本裕貴も「セレッソ戦の勝利に貢献したい」と目線を定めている。

「チームとしての底上げの必要は感じている。どういうメンバーで戦っても、スタジアムでお金を払って応援してくださる方のために、応援してくださるサポーターのために、プロとして魂を込めて戦わないといけない」
 森保一監督の言葉を、魂で受け止める若者たちの台頭を、待つ。

 文・中野和也