5月14日(日)2017明治安田生命J1リーグ第11節
セレッソ大阪 - サンフレッチェ広島 (15:00KICK OFF/金鳥スタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 神戸戦で同点に追いつき、ルヴァンカップ対鳥栖戦では1-0と勝利。雰囲気はあがってきているが、まだ本物ではない。神戸戦では守備の人数が揃っているのにマークが甘く、相手のアタッカーに利き足を振り切られていた。それが失点にもつながっている。セレッソ大阪の能力の高い攻撃陣に対して同じミスを犯してしまえば、1失点ではすまないはずだ。

 神戸戦では後半途中から森崎和幸がピッチに入り、球際・セカンドボールに対する意識を高めたことで守備が引き締まった。その森崎は今節から先発に復帰する予定。彼の存在によってビルドアップでのミスが減り、攻守にわたって安定度が増すことは既にルヴァンカップで証明済みだろう。ただ、いくら森崎が優れていても、個々の意識が常にアラートになっていなければ、勝負は勝てない。

 ルヴァンカップ・セレッソ大阪戦ではほとんどチャンスを与えていなかったのにセカンドボールに対する対応を怠ったが故に、秋山大地に素晴らしいゴールを決められてしまった。90分間、試合に出ている選手の意識を高いレベルで保ち続けること。優勝した時にできていたことを、もう1度明確にするべきだろう。

 「セレッソ大阪は尹晶煥監督が守備の規律を叩き込み、攻撃力はJリーグでもトップクラス」と森保一監督は分析。「特にセットプレーは大きな武器となっている」と警戒を隠さない。守備の要となる水本裕貴も「攻撃陣は強力だしボランチの攻撃能力も高い。全員に対する警戒が必要」。さらに今節の先発復帰が予想されている森崎和幸も「Jリーグで最も安定しているチームの一つ」とセレッソ大阪の強さを評価している。

 現状では、セレッソ大阪を攻守に圧倒する姿は想像できない。現実をしっかりと見据え、状況にあったサッカーを選択せざるをえないだろう。「もちろん、テンポの速いサッカーがやりたいが、勝点を積み上げるために正しいと考えることをやりたい」という森崎の思いが、広島の厳しさを象徴している。

 セレッソ大阪がJ1に戻ってきたばかりだという認識はない。J1でも強豪チームの一つ。チャレンジャーとして自分たちの力をぶつける。それしか、苦境打開の方法はない。

文・中野和也