6月17日(土)2017明治安田生命J1リーグ第15節
セレッソ大阪 - 清水エスパルス (19:00KICK OFF/ヤンマー)
試合写真・コメントなど チケット
----------

 ヤンマースタジアム長居は、昨年までは清水にとって鬼門だったが、その流れが変わってきそうな予感がある。
 昨年のJ2第34節(10月2日)での対戦 は、清水にとってJ1への自動昇格をかけたまさに背水の陣だった。71分に酒本憲幸に先制点を決められた際には絶望的な空気が流れたが、89分に北川航也が同点ゴールを決め、本当に土壇場の90+4分、白崎凌兵が目の覚めるような強烈なシュートを突き刺して1-2の大逆転。これで勢いに乗った清水は、最終節まで9連勝して松本を追い抜き、奇跡的な逆転自動昇格を決めたのだった。

 この試合が昨年の清水にとっては大きなターニングポイントだったことは間違いなく、今年もそれを再現したいという思いが強い。
 今の清水はリーグ戦で8試合勝利がないが、サッカー自体が崩れているわけではない。細かい守備の課題が重なって勝ちきれない戦いが続いているが、攻守とも組織的に戦うという意味ではけっして悪くない状況にある。また、鄭大世とチアゴ アウベスの2トップはJ1の中でもハイレベルなコンビで、アウェイの浦和戦で3得点するなどハマったときの得点力は高い。
 もちろん、好調さや勢いという面ではセレッソとは大きな差があるが、逆にここで1つ勝てれば一気に勢いをつかめる可能性もある。今季の3勝はすべてアウェイでの勝利で、ある程度守備から入る戦い方で結果を出しており、それはセレッソに対しても有効なはず。今の清水には、引き分けでOKという意識はない。

 そんな中、この試合にひときわ燃えているのは、やはりセレッソ出身(2011~12年)の村田和哉だ。ここまで左MFとしてチームの柱となってきた10番の白崎が負傷離脱した中で、同じく2列目を務める村田の活躍が欠かせないものになっていることも、彼のモチベーションを増幅させている。
「白崎がいない分、僕らが結果を出さないといけないし、セレッソ、甲府、札幌と続く3試合は本当に落とせないと思ってます。ここで負けたら立場(順位)はすごく悪くなるし、逆に勝てば本来いるべきところに戻れると思うので、良い景気づけになる試合にしたいですね」と村田は語る。
 彼の出番は交代出場になるかもしれないが、同点のまま終盤に突入した場合などは、村田の本領であるスピードや突破力が最大限に生かされるはず。それは清水の勝ちパターンの1つであり、彼自身もセレッソ・サポーターの前で自分の成長ぶりを見せたいという思いは強い。
「僕は、(山口)蛍、(杉本)健勇、(柿谷)曜一朗とかがトップに入った頃によく一緒にプレーしていて、共通の思い出が多い選手ばかりなのですごく楽しみやし、自分にとっても良いきっかけにしたい試合です」(村田)

 セレッソの強力攻撃陣を組織で抑えながら、速い攻守の切り替えで先制点を奪って、村田らのジョーカーを生かしながら追加点を決める。そんな絵を描きながら、清水イレブンは好調なセレッソに挑む。

文・前島芳雄