8月30日(水)JリーグYBCルヴァンカップ準々決勝第1戦
セレッソ大阪 - 浦和レッズ (19:00KICK OFF/ヤンマー)
試合写真・コメントなど チケット
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 浦和は直近の対戦となる7月22日(土)のJ1リーグ戦第22節 で、セレッソ大阪に4-2で敗れている。試合開始からわずか8分で2失点を喫し、その時点で勝負は決まったようなものだった。前半終了時には4-2のスコアで、2点を取って自慢の攻撃力をなんとか示したのが精一杯。終始、セレッソ大阪が優位な状況で試合を進めていた。
 もっとも、そういった展開を強いられたことは、さほど不思議ではなかった。浦和は拙い守備の穴を突かれて簡単に失点し、バタバタと慌て、傷口を広げるというのをこの頃は毎試合のように繰り返していたからだ。

 ただ、今の浦和は当時とは少し違う。5年半に渡って指揮を執ったミハイロ・ペトロヴィッチから堀孝史に指揮官が代わった(7/30)ことで、戦い方が変化した。大きく違うのは守備面だ。前任者はボールを失った瞬間に前からプレスをかけてボールを奪いに行く「攻撃的な守備」を強く求めたが、堀監督は守備に不用意に穴を空けない「コンパクトな守り」を選手たちに植え付けることでチームの安定を図った。
 ブロックをきっちりと作り、組織的にチャレンジ&カバーを連動して行う。クロスへの対応ではボールウォッチャーにならない、スペースを埋める、マークを外さない、逆サイドの選手は絞る。前体制下では疎かになっていた守備の基礎を一から洗い直した。

 その意識改革の成果は実際にパフォーマンス上でも表れており、以前のように自滅的な破綻を招くようなプレーは激減した。直近のセレッソ戦では、緩慢な守備対応から立て続けに2点を先行されたが、ああいったシーンを防げる可能性は高まっている。
 堀体制になってからの浦和は、ACLでは日本屈指の破壊力を誇る川崎Fに屈したものの、リーグ戦では3勝1分と負けていない。今の浦和であれば、セレッソのような強敵を相手にしても粘り強い戦いができるのではないか。

 日程的にセレッソ大阪よりも厳しい中2日というのが懸念材料になるのは確かだ。ただ、今の浦和は前体制と異なり、選手間の競争原理がしっかり働いている分、イキのいい選手の奮闘に期待したい。実際、菊池大介、矢島慎也を筆頭に、これまで出番のなかった選手がチャンスを与えられ、チームに新鮮な風が吹き込んでいて、ベンチ入りメンバーの顔ぶれも変化している。
 前節・清水戦では、前十字靭帯損傷で長期離脱していた梅崎司がスタメン復帰でいきなりのフル出場。しかも、走行距離で両チームトップという数字を叩き出し、切れ味鋭いプレーで得点にも絡んだ。

 ヤンマースタジアム長居での一戦は、ルヴァンカップ準決勝進出をかけた重要な初戦であると同時に、惨敗した前回対戦の借りを返すチャンスでもある。
「リーグ戦で同じ場所でやられているので、リベンジマッチという気持ちで臨みたい」と言う西川周作の思いは、チームの総意でもあるはずだ。

文・神谷正明