1月1日(月・祝)第97回天皇杯決勝
セレッソ大阪 - 横浜F・マリノス (14:40KICK OFF/埼玉)
試合写真・コメントなど チケット
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 天皇杯準決勝の前、もう一方の山の対戦カードを見て、今季3敗を喫したセレッソ大阪と決勝で顔を合わせたくない、というのが横浜F・マリノス担当ライターとしての正直な気持ちであった。だが、今は違う。元日の晴れの舞台で、セレッソにリベンジできるチャンスが舞い込んできたことに、運命めいたものを感じる。そしてドラマチックなエンディングが待っているのではないかと、ついロマンを抱いてしまう。

 ただし、現実はそう甘くないだろう。まず、ケガ人によりベストな布陣が定まらない。キャプテンの齋藤学は長期離脱中。代役は、リーグ戦最終節からコンバートされたDF山中亮輔が継続して務めそう。また、打倒・古巣の気概に満ちていたはずの扇原貴宏は準決勝で負傷退場。肉離れと判明し、27日の練習に姿はなかった。欠場が濃厚だけに、抜けた位置にはシーズン中、扇原とボランチの座を争った喜田拓也、もしくはトップ下の天野純が1列下がって起用されると思われる。

 試合では、2つの難題を克服しなければ、戴冠は厳しいだろう。
 1つ目は今季3度のセレッソ戦で、5失点を招いた「セットプレー」。3月のルヴァンカップ初戦 ではCK絡みで2失点、4月のリーグ戦第5節 ではFK直後のセカンドボールを決められた。11月の第32節 でもCKから2点を献上。特に前回の対戦では、「セレッソはセットプレーが強いということを知っていた」(マルティノス)にも関わらず、制空権を明け渡したのは痛恨の極み。これ以上、同じ過ちは繰り返すわけにはいかない。

 2つ目の課題は「守備のバランス」。前回の対戦では先制後に守備ラインが下がり過ぎ、それによって空いたバイタルエリアを突かれ、1得点1アシストの清武弘嗣らに好き放題やられた印象を受けた。今回、決勝を前に中澤佑二は「とにかく耐えしのぐ」ことを旗印に掲げたが、ただ精神論で守るだけでは相手の思うツボ。そこは戦況を読み、的確な指示と気の利いたポジショニングでコレクティブな守備を引き出せるボランチ・中町公祐の舵取りが肝になるのではないか。4年前の天皇杯決勝で美酒を味わった経験値の高さも見逃せない。

 同じく優勝経験者の中澤は、準決勝後の「セレッソに3連敗中ですが?」の問いに、「リーグ戦はリーグ戦。F・マリノスらしいサッカーができれば優勝するチャンスはある」と即答。この一戦を最後にチームを去るエリク モンバエルツ監督も、「セレッソのことはリスペクトしていますが、自分たちはセレッソを倒せるクオリティーを持っていると信じています」と、プライドをのぞかせる。自信を宿すトリコロール軍団が、「元日決戦」という名のリベンジマッチに挑む。


文・小林智明(インサイド)