4月21日(土)2018明治安田生命J1リーグ 第9節
ガンバ大阪 - セレッソ大阪 (19:00KICK OFF/吹田S)
試合写真・コメントなど チケット
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 今季からガンバ大阪の指揮官に就任したレヴィ・クルピ監督は、直近に戦ったルヴァンカップ・浦和レッズ戦(4/18)で初めて「ターンオーバー」を導入した。ここまでの公式戦はすべて、チームの熟成を目指し、ほぼメンバーを固定して戦ってきたにも関わらず、だ。
 理由は「週末に大事なビッグマッチが控えているため」。かつて在籍した『古巣』との対戦を控え、指揮官はきっぱり言い切った。

 今シーズン、クルピ監督は5年ぶりにJリーグ監督に返り咲いた。その場所に選んだのは、かつて在籍したセレッソ大阪と同じ大阪を本拠地とするライバルチーム、ガンバ大阪だ。かつて、セレッソで過ごした歳月がトータルして6年にも及んだことを考えれば古巣を懐かしむ気持ちはあったはずだが、プロフェッショナルとして冷静に判断し、オファーを受け入れた。就任記者会見での言葉が思い返される。
「私は以前、何年も過ごした日本で非常に幸せな時間を送ることができました。だからこそ、その日本のチームからのオファー、ガンバ大阪というビッグクラブからのオファーに全く迷いはありませんでした」

 その中で目指したのはガンバのスタイルとされた『攻撃サッカー』だ。いや、近年薄れつつあったそのスタイルを今一度取り戻そうとクルピ監督に白羽の矢がたてられたと考えれば、クラブと『相思相愛』の関係で監督就任が実現したと言っていい。事実、就任当初からクルピ監督は、こう繰り返してきた。
「いいチームというのはしっかりと攻め、守れるチーム。その中で勝者と呼ばれるチーム、優勝するチームというのは、最後まで攻め抜く姿勢を貫くチームだ」

 だが、ここまでのJ1リーグ戦における1勝1分6敗という結果を見る限り、その理想は実現しているとは言い難い。前指揮官の下、5年間にわたって『規律』に縛られたサッカーに慣れてしまっていたこともあってだろう。特に序盤戦、選手たちは、これまでとは対照的にクルピ監督に与えられた『自由』を楽しむというより、『規律』という拠り所を失って、ピッチ上で迷子になっていたようにさえ見えた。

 だが、それも過去の話だ。いや、厳密には過去の話にしようと模索を続けている状況だが、試合を重ねるごとにピッチでの会話が増え、お互いの描く『自由』をすり合わせて攻撃を作り出すシーンは増えつつある。その数がさらに増え、明確に「結果」に結びつくようになれば、胸にある自信がより大きく膨らんで本来の勢いを取り戻すことだろう。そのきっかけが、選手の誰もが「絶対に負けられない戦い(MF倉田秋)」だと意識する、今節の『大阪ダービー』であることを期待している。

文・高村美砂