8月29日(土)第95回天皇杯1回戦
セレッソ大阪 1-2 FC大阪 (18:04KICK OFF/金鳥スタ/4,467人)
試合写真・コメントなど
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 明治安田生命J2リーグ戦が2週間の中断期間に入ったなか、第95回天皇杯がスタート。その1回戦から出場することになったセレッソ大阪は、伝統のカップ戦初戦で、同じ大阪を本拠地とするJFLのFC大阪と、公式戦で初めて対戦した。 

「これからリーグにおいても、終盤、勝負のかかった試合が続く。そして、天皇杯もトーナメントということであれば、全選手の力を必要とする。これからシーズン最後の試合まで、全選手の力が必要になる」。戦前にパウロ・アウトゥオリ監督がそう述べたコンセプトのもと、この一戦では直近の公式戦であるJ2第30節・大分トリニータ戦から、先発を9人変更。中澤聡太、田中裕介の今季加入組がセレッソ加入後初出場となったほか、中盤の一角にはマグノ クルスが初先発。前線では永井龍とエジミウソンがコンビを組んだ。山口蛍、丸橋祐介、田代有三、パブロをはじめ、大分戦スターティングメンバーのうち7人が天皇杯1回戦のメンバーから外れた。

 試合では、立ち上がりはセレッソが主導権を握った。序盤に、左サイドバックに入った田中の左クロスから永井がヘディングシュートを放つなど、開始15分すぎまでに好機を立て続けに作ったが、マグノ クルスの強烈なシュートもクロスバーを叩くなど、チャンスを活かせない。すると、FC大阪に徐々に攻勢をかけられ、29分、35分と、立て続けにコーナーキックやフリーキックといったセットプレーから失点。「セレッソのここ3試合を見たなかでは、セットプレーで失点している。そこはすごくチャンスだなということを思っていた」(FC大阪・森岡茂監督)と、現在のセレッソのウイークポイントを的確に突かれて、最悪の内容で前半を終える形になってしまった。

 失点直前からリズムも崩れ出し、ミスも目立ったセレッソ。0-2で折り返した後半もなかなかペースが上がらず、逆に相手の決定機をGK武田の好守でしのぐという場面もあった。加えて、持ち前の個人技でゲームを作っていた吉野峻光を「ひざの痛みを訴えて、途中で代えざるを得なかった」(アウトゥオリ監督)こともあり、セレッソはますます苦しい状況に追い込まれる。

 それでも、交代で入った選手がチームに勢いをもたらす。その急先鋒となったのは、今季セレッソ復帰後初出場の小暮大器。生え抜きの25番が右サイドから積極的に仕掛けて流れを呼び込むと、74分、セレッソはようやく1点を返す。その小暮の強烈なミドルシュートを相手GKが弾き、こぼれ球を、小暮同様この試合で積極性が目立っていた永井が押し込んだ。
 さらに、その3分後には、FC大阪に退場者が出て数的優位にも立ち、場内のボルテージも上がるなか、桜色の戦士たちは猛反撃に出る。途中出場の前川大河やDF山下達也までも、永井や小暮らとともにゴールに迫ったが、守備を固めた相手を最後まで崩せず、1-2のままタイムアップ。FC大阪との大阪ダービーに屈して、ジャイアントキリングを起こさせてしまっただけでなく、セレッソとしてはクラブ史上初となる1回戦での敗北という屈辱も味わうことになった。 

 試合後、サポーターからの大ブーイングを浴びる形となったなか、「この負けをしっかり受け止めなければいけない」と言う染谷悠太をはじめ、セレッソのイレブンは誰もが悔しさを痛感。「最終的にこういう結果になってしまったことは、すべて私の責任」と述べたアウトゥオリ監督は「ここで絶対に下を向くことなく、我々の目標であるJ1昇格に向かって、しっかりと気持ちを切り替えなければいけない」と、立て直しを誓っていた。
 重要なタイトル獲得およびACL出場権獲得へのチャンスを手放してしまったセレッソ。だからこそ、今季の究極の目標である1年でのJ1復帰を、何としても実現しなければならない。そのためにも、この試合で苦渋を味わった選手たちを含めて、チーム全員の奮起が、ここからさらに求められる。

文・前田敏勝