11月29日(日)2015 J1昇格プレーオフ準決勝
セレッソ大阪 0-0 愛媛FC (15:34/ヤンマー/13,893人)
試合写真・コメントなど
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 明治安田生命J2リーグ戦のレギュラーシーズンを4位で終えたセレッソ大阪は、J1昇格への残り1枠をかけた戦いとなるJ1昇格プレーオフの舞台に初めて進むことになった。その相手は、5位で、Jリーグ参入後10年目にして初のプレーオフ出場を果たした愛媛FC。ホーム・ヤンマースタジアム長居で、絶対に負けられない一戦に挑んだ。

 J2第42節・東京ヴェルディ戦と同じく、試合前日練習時の舞洲グラウンドにはサポーター有志によって応援の横断幕が数多く掲げられ、『セレッソ大阪』コールで選手やスタッフを乗せたバスが見送られた。試合当日も、チームがスタジアム入りするときから数多くのセレッソサポーターが応援コール、フラッグなどで熱く鼓舞。スタジアム内でも、試合前からセレッソ側応援スタンドはピンクの小旗で埋め尽くされ、”WE ARE CEREZO”という大きな声援が響き渡るなか、『12番目の選手』とともに、クラブ一丸となって戦う雰囲気はできていた。

 この試合のスターティングメンバーは、「最終戦(11/23東京V戦)に勝てた勢いをピッチの中に残したい」(大熊清監督)ということもあって、茂庭照幸、橋本英郎らをはじめ、東京V戦とまったく同じに。累積警告による出場停止が解けた扇原貴宏、負傷明けのマグノ クルスが、新たにベンチ入りした。

 今季の対戦成績は1勝1敗の五分。ただし、第17節 で勝利したときも苦戦を強いられていた。そして、今回は一発勝負のプレーオフ。難しい試合になることは想定された。
 実際に、前半から組織的な愛媛の戦いに苦しめられたが、田中裕介や関口訓充をはじめとする身体を張ったディフェンス、ハードワークもあり、チーム全体が我慢強く戦っていく。その一方で、セレッソにも前半41分にビッグチャンスが到来。関口のコーナーキックから、東京V戦でも2得点を決めた茂庭がヘッドで合わせるも直前で阻まれ、そのこぼれ球を田代有三がダイレクトで左足を合わせるが、これも愛媛GK児玉剛に防がれた。

 後半は、前半とは対照的にセレッソがペースを握っていく。山口蛍が玉田圭司とのワンツーで抜け出す場面もあれば、丸橋祐介の左クロスも増え始めるなど攻勢を仕掛けることができ、田代には3度の決定機も訪れた。さらには68分にパブロ、81分にエジミウソンと攻めの手も打った。それでも、なかなか愛媛ゴールを割ることができない。
 すると、アディショナルタイム3分を含めた試合終盤、勝たなければ先のない愛媛の決死のパワープレーを浴び、息が詰まるような苦しい時間帯が続く。終了間際には相手コーナーキックからゴール前に上がっていたGK児玉にあわやという場面も作られた。しかし、ゴール前に戻っていた田代がなんとか足で外へクリアするなど、桜色の選手たちの集中は最後まで途切れない。最後の愛媛コーナーキックも、交代で入っていた中澤聡太がヘッドで大きくクリア。執念で無失点にしのいだセレッソは、0-0の引き分けに終わったものの、引き分けの場合はリーグ戦上位チームが勝ち上がるという大会規定により、プレーオフ決勝へ進む権利を勝ち取った。 

「危ないシーンもあったが、そこで点を取られなかったのは、チームがまとまってきているからだと思う」と楠神順平も言うように、チームが1つになって戦ったからこそ、J1昇格へのラストチャレンジの場を得ることができたと言えよう。ちょうど1年前、同じ長居の舞台で敗れてJ2降格を経験。その悔しい過去も、この試合で断ち切った。「あの悔しさを忘れないように、しっかりと次の試合で勝って、またここで笑って終われるようにしたい」と山下達也。
 1週間後の12月6日(日)には、アビスパ福岡との『勝つしかJ1への道はない』最終決戦が待っている。舞台は聖地・長居。
「自分たちもこのピッチでサポーターに感謝の気持ちを込めて、次のラスト1試合、しっかり勝って、J1に昇格したい」
 関口が代表して述べた言葉を、セレッソに関わるすべての人が一丸となって、必ず実現する。

文・前田敏勝