3月12日(土)2016明治安田生命J2リーグ第3節
セレッソ大阪 1-0 ザスパクサツ群馬 (16:05/金鳥スタ/13,495人)
試合写真・コメントなど
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 明治安田生命J2リーグ戦が開幕してから2試合をアウェイで戦ったセレッソ大阪。ようやくホーム開幕戦を迎えた3月12日、快晴、好天のキンチョウスタジアムには、開門前から、この日を待ちわびた多くのセレッソサポーターが来場。13,495人の観衆で、スタンドはピンクに染まった。舞台は整ったなか、2連勝でホームに凱旋することができた桜色の戦士たち。この第3節では、同じく2連勝と好発進した、首位・ザスパクサツ群馬と顔を合わせた。

 これまでの2試合とまったく同じ顔ぶれが先発に並んだセレッソは、序盤からボールを保持する時間を長くして、山村和也とソウザのボランチコンビを中心に生み出されるチャンスで、アウェイチームに攻勢をかけていく。柿谷曜一朗のドリブル、松田陸の右クロス、杉本健勇やソウザの思い切りのいいシュート、山下達也のオーバーラップからの好パス、ブルーノ メネゲウのゴール前への飛び出しなど、多彩な形でゴールを脅かすが、なかなか決めきることができない。一方で、群馬にはミドルシュートなども繰り出されたが、守備陣が最後まで体を投げ出して対応したこともあって、相手のシュートは枠を外れ、失点には至らず。前半はスコアレスで折り返す。

「ゲーム内容は悪くない。相手のカウンターに気をつけよう。各選手の動き出しを早くしよう」と、ハーフタイムで大熊清監督がイレブンを鼓舞し、迎えた後半。大きな声援を送ってくれるセレッソサポーターで埋まるゴール裏に向かっていくなか、セレッソの攻撃の勢いはさらに加速していく。後半開始2分には、松田の右クロスから、ゴール前中央でブルーノ メネゲウとリカルド サントスに立て続けに決定機が訪れる。しかし、この日、再三の好守を見せていた群馬GK清水慶記に阻まれてしまった。

 それでも、その閉塞感を打破したのは、我らが主将、『8』番を背負う男だった。59分、ペナルティーエリア左付近からのブルーノ メネゲウの右足でのクロスに、リカルド サントスがその長身を生かしてヘッドで折り返す。ゴール前中央で待っていたのは、柿谷だった。しかし、ボールを受けたとき、群馬ゴールに背を向けて、すぐにシュートを打たせてもらえない状況にもなっていたが、そこで見せたのは、相手の虚を突いた左足ヒールでのシュート。一瞬、何が起こったかわからない、時間が止まったようなキンチョウスタジアムの空間は、ボールがゴールに吸い込まれた瞬間、歓喜が爆発した。柿谷は、サポーターの前で飛び上がってガッツポーズ。「ああいうシチュエーションで、あれしかないということをやってくれた」(ブルーノ メネゲウ)と味方も絶賛のミラクルな一撃が、均衡を破った。

 その後も、松田、リカルド サントス、柿谷、杉本、山村など、決定機を多く作って攻め立てたものの、追加点がなかなか奪えなかったセレッソ。嫌なムードも漂い始めたなか、75分には相手にゴール前へ抜け出されたものの、GKキム ジンヒョンが足で止めるビッグセーブでピンチ脱出。その後も、押し込まれるときがあっても、「今日は本当に前の選手たちが頑張って追ってくれたので、引くシーンはあっても、ある程度ラインはコンパクトにして、みんながみんなをカバーしあう距離感ができていた」と茂庭照幸も言うように、守備での集中も最後まで途切れなかった。
 終盤には、大卒ルーキーの澤上竜二もJデビューを果たし、前線でのボールキープなどでチームに貢献。結局、3試合連続の1-0という僅差ながら、2013年以来となる開幕3連勝を達成できた。

「ゴールよりも3連勝できてうれしい」というのは、殊勲の柿谷。それでも、「勝ったからといって反省点がないわけじゃないので、勝ったからこそ、もう1回試合を見直して、反省するところは反省して次の試合に生かしたい」と、すぐに気持ちを引き締め直した。群馬に昨シーズンのリベンジを果たすことはできたが、ここで立ち止まるわけにはいかない。J1昇格、J2優勝という目標に向かって、セレッソはチーム一丸となって突き進んでいく。

文・前田敏勝