5月22日(日)2016明治安田生命J2リーグ第14節
横浜FC 1-1 セレッソ大阪 (16:03/ニッパツ/10,524人)
試合写真・コメントなど
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 日中の最高気温が30度近くまで上昇。照り付ける日差しも強く、初夏を思わせる陽気の中で行われた明治安田生命J2リーグ第14節。セレッソ大阪は敵地に乗り込み、横浜FCと対戦した。

 11分、セレッソにビッグチャンスが訪れる。リカルド サントスがボールを持った相手GKに寄せると、慌てたGKがキックミス。柿谷曜一朗がカットし、GKとの1対1になりかけたが、トラップが乱れDFにクリアされる。そのこぼれ球を拾った関口訓充がシュートに持ち込んだが、GKの正面を突いた。2分後にも同じようなシーンが訪れる。今度は相手DFのパスが再び柿谷へ渡る。今度は落ち着いてリカルド サントスへパスを送った柿谷だが、ここは惜しくもオフサイドとなった。

 先制の絶好機を逃すと、以降の時間帯、セレッソは思うようにシュートまで持っていくことができない。DFラインと中盤で2ラインを敷いて守る横浜FCに対して、セレッソはブロックの外側でボールを回すばかり。相手のプレスの開始位置が低い分、セレッソのDFラインやボランチでボールを持つことはできたが、トップとの距離が遠く、間で受ける回数も少ない。「自分たちセンターバックの球の持ち方もそうだし、ボールを動かすリズムやサポートの質も良くなかった」(山下達也)。
 ビルドアップが思うようにいかない前半は、守備でも何度かピンチを招く。前節のレノファ山口FC戦でも見られた相手ボール保持者への寄せの甘さが散見され、22分にはサイドからクロスを上げられ、寺田紳一に決定的なシュートを打たれる。ここは、キム ジンヒョンが素早い反応でセーブ。32分にはCKからフリーで野村直輝にシュートを許したが、クロスバーを越えて事なきを得た。

 内容の乏しい前半から一転、後半は立ち上がりから積極的に相手を押し込んだセレッソ。開始30秒、関口のクロスに柿谷が飛び込みゴールを脅かすと、以降も右サイドは関口と松田陸のコンビで制圧し、左サイドも杉本健勇が起点となってチャンスメイク。ボランチのソウザが高い位置で自由に動いて圧力をかけるなど、セレッソは「非常に距離感も良く、圧力をかけて自分たちのサッカーができた」(大熊清監督)。

 59分には柿谷のドリブル突破からチャンスが広がり、杉本のクロスにソウザがヘッドで合わせたが、惜しくも相手GKに防がれる。64分にも高い位置でボールを奪った柿谷がドリブル突破で相手のファウルを誘う。ゴール前で得たFKはソウザのシュートがバーを越えたが、この時間帯は明らかにセレッソペースだった。それでも崩し切るまでには至らず、先制点を奪うことができない。

 0-0のまま試合が推移した前回のアウェイ・愛媛FC戦では交代枠を1枚残した大熊監督だが、今節は積極的に選手を投入。セレッソ移籍後初出場となった清原翔平や澤上竜二を交代で送り込み1点を取りに行ったが、87分、松田のバックパスがミスとなり、カウンターを受ける。素早くシンプルに横浜FCにボールを運ばれると、左サイドの佐藤謙介のクロスに大外から走り込んできた右サイドバック市村篤司に決められてしまった。警戒していたカウンターから失点したセレッソ。後半はほぼ敵陣でプレーするなど押し込み続けたが、自分たちの時間帯で得点を奪えないとこうなるという、サッカーにおける典型的な流れで先制を許してしまった。

 それでも、ホームのゴール裏以上とも言える大勢のセレッソサポーターが最後まで応援してチームを鼓舞するなか、ピッチの選手たちも勝負をあきらめない。「誰一人最後まで気持ちを切らした選手はいない」(ソウザ)と反撃を開始すると、89分、松田のクロスに合わせた澤上のヘディングはポストを叩くも、跳ね返ったボールをDFがクリアして得たCKを柿谷がショートコーナーで素早く松田へ渡す。失点時の名誉挽回とばかりに松田が絶妙なクロスを上げると、合わせたのはブルーノ メネゲウ。味方と相手で密集した状態のなか、見事なジャンピングボレーが完ぺきに決まってセレッソが同点に追いついた。その後も逆転を目指して最後まで攻めたセレッソだが、スコアは動かず1-1で試合は終了した。

 試合前、横浜FCを第8節で対戦したギラヴァンツ北九州 にも例えていた大熊監督だが、奇しくもスコアの推移も似た展開となった。大敗した前節を払拭する勝利が欲しかったセレッソだが、放ったシュート18本で奪った得点は1点のみ。「相手が引いてくることはわかっていたなかで、どうやって崩していくのかということは、もっともっと練習からやっていかないといけない」(松田)と崩しの質で課題は残った。 

 それでも、途中出場のブルーノ メネゲウが2戦連発でチームを敗戦の危機から救えば、清原や澤上といった、ここまで出場機会(時間)の少ない選手たちも自身の持ち味の一端を発揮。新たな力が躍動を見せたことは収穫だ。次節以降、セレッソはホームでの連戦となる。まずは次節。勝点25で並ぶ2位・ファジアーノ岡山との直接対決は、今後のリーグ戦の流れをも左右する大一番となる。

文・小田尚史