10月16日(日)2016明治安田生命J2リーグ第36節
ファジアーノ岡山 1-1 セレッソ大阪 (13:03/Cスタ/15,203人)
試合写真・コメントなど
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 3位・セレッソ大阪と5位・ファジアーノ岡山。目標とするJ1自動昇格を果たすためには両チーム勝点3が譲れない一戦は、試合前日にチケットが完売。最終的に今季の岡山のホームゲーム最多となる15,203人が来場し、内容も期待に違わぬ熱戦となった。

 試合開始から両チーム、激しい攻防が続く。序盤、守備で目立ったのは藤本康太。出場停止の押谷祐樹に代わって先発した岡山の大学卒ルーキー・藤本佳希を1対1でしっかり止めた。
 セレッソも左サイドを中心に攻撃。7分、ソウザから丸橋祐介、丸橋から清原翔平とパスをつなげて決定機を作ると、16分には山口蛍の正確なパスが丸橋に通り、DFの裏を取った丸橋が中にクロスを上げるも、飛び込む選手がいなかった。一進一退の攻防が繰り広げられるなか、セレッソにアクシデント発生。昨年5月に手術した右大腿部を痛め、藤本康太が途中交代。急きょ、茂庭照幸がピッチに入った。

 そんな緊急事態にも動じることなく、セレッソが時間とともに試合を掌握すると、37分。相手のパスをカットしたソウザがそのまま持ち上がり、CKを獲得。ショートコーナーの流れからゴール前が混戦となり、清原がシュート。DFのクリアが再び清原の下にこぼれてくると、今度はシュートを打たず、ワンタッチで前に落としてソウザへパス。「キヨが自分のことをよく見てくれていた」と試合後に感謝の言葉を述べたソウザがダイレクトでシュートを決めて、セレッソが先制点を奪った。

 得点後もカウンターから追加点が生まれそうな気配が漂っていたが、ここに落とし穴があった。43分、丸橋が起点となり、清原、ソウザ、丸橋とボールが運ばれ、最後は丸橋が逆サイドへクロスを上げるも、このクロスが中途半端になり、DFのクリアにあう。このこぼれ球を岡山のキーマン矢島慎也に拾われると、素早く松田陸がチェックに行き、山口もフォローする。攻撃を遅らせることには成功したが、取り切れないでいると、次の瞬間、矢島が前方へ鋭い縦パス。これを赤嶺真吾に収められ、後方から走ってきた関戸健二にミドルシュートを決められた。試合前、「隙をなくすことが大事」と口酸っぱく話していた大熊清監督だが、先制し、なおも攻勢を続けた時間帯に、悔やまれる失点を喫してしまった。

 後半も開始からしばらくは一進一退の攻防となり、セットプレーから岩政大樹に何度かヘディングで脅かされるも、この時間帯をセレッソがしのぐと、残り時間はセレッソが押し込み、岡山がカウンターを狙う形で試合は推移。68分、丸橋の直接FKが際どいコースに飛んだが、惜しくも外れる。76分にはスローインで相手の背後を取った山口がダイレクトで中に折り返すも、杉本健勇のシュートはヒットせず、好機を逸した。81分には丸橋のCKから赤嶺がヘディングで自陣のゴールネットを揺らすも、競ったリカルド サントスがファウルを取られてノーゴール。その後もセレッソは両サイドの丸橋と松田が高い位置を取り続け、途中出場の酒本憲幸がいいアクセントを付け、何度も岡山ゴールに迫ったが、最後の精度が足りず2点目を奪うことができなかった。後半に切り札として登場した岡山の豊川雄太の突破は90+2分にソウザ、90+4分には茂庭が封じるなど、後半は岡山のカウンターをしっかり抑え、相手に決定機を作らせずに押し込んだだけに、セレッソとしてはもったいないドローとなった。
 試合前、「内容での判定勝ちはないので、チャンスで決め切ることが大事」と話していた大熊監督だが、決め切る、守り切るといった部分が一歩、足りなかった。J1自動昇格を狙う上では痛い引き分けとなったが、今季の戦いは終わっていない。今節の勝点1により、総勝点ではすでに昨季の67に並んだ。ここから先、さらに勝点を積み上げ続けることが、逆転でのJ1自動昇格につながる。

文・小田尚史