10月23日(日)2016明治安田生命J2リーグ第37節
セレッソ大阪 2-2 モンテディオ山形 (14:04/金鳥スタ/10,025人)
試合写真・コメントなど
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 この第37節の試合前の時点で、2016明治安田生命J2リーグ戦は残り6試合。2位・松本山雅FCとの勝点差が4と開いているなか、これ以上引き離されないようにするためにも、そしてJ1昇格を勝ち取るためにも、とにかく勝利が欲しいセレッソ大阪。ホームであるキンチョウスタジアムに、モンテディオ山形を迎えた。
 メンバーは前節のファジアーノ岡山戦 から先発・控えともに、変更せずに臨んだセレッソ。開始早々、自陣ゴール前で山形FW大黒将志に決定機を作られ肝を冷やすも、その後の松田陸の思いきりのいいシュートから、アグレッシブな姿勢が目立ち始めた桜色の戦士たちは、山形を押し込んでいく。20分には田中裕介の右足ミドルシュートがGKを強襲すれば、そこで得たコーナーキックから藤本康太がゴールポスト直撃のヘディングシュートを放った。

 ただし、そういったチャンスをなかなか決めきれず、もどかしい時間帯も続いたが、前半終了間際に欲しかった先制点を獲得。ソウザの直接フリーキックのこぼれ球を拾った松田が絶妙な右クロス。これに合わせたのが、玉田圭司。左足ジャンピングボレーシュートが見事に相手ゴールネットに突き刺さった。「(先制点の)時間帯は最高だった」と20番も振り返るように、セレッソは前半をいい形で締めくくることができた。

 後半に入り、「少し受け身になってしまった」(玉田)ことで、山形に反撃の隙を与えてしまう。すると61分、浮き球のルーズボールを相手につながれ、セレッソDF陣とGKの間に飛び込んだ大黒に決定機を許す。キム ジンヒョンも捨て身で果敢に飛び込み、身体を張って守りに行ったのだが、ボールは最後に大黒に当たってゴールイン。試合は振り出しに戻ってしまった。
 62分には玉田に代えて酒本憲幸、72分には田中に代えて山村和也を送り込み、立て直しを図ったセレッソ。しかし、その2分後、山形が右サイドから攻めに来たところで、ペナルティーエリアに入ってきた相手を止めに行ったソウザのプレーがファウルとみなされ、ジャッジはPK。これをまたも大黒に決められ(76分)、逆転を許してしまう。

 なんとか劣勢を挽回したいセレッソは、78分の時点で最後の交代カードとして澤上竜二を選択。トレーニングでも好調さをアピールしていた強力FWを前線に投入する。しかし、守りを固めて1点リードのまま逃げ切りに来た山形を攻め崩すまでにはいたらない。途中から攻撃的なポジションに移ったソウザだけでなく、終盤には藤本も上がり、杉本、澤上とともに前線で遮二無二ゴールを目指していくと、90+4分、ようやくセレッソサポーターの歓喜がスタジアムに響く。松田の右ハイクロスをきっかけに、ソウザ、澤上が粘り強く対応すると、そのこぼれ球に山村がダイレクトで左足を振り抜く。強烈なグラウンダーのシュートは、相手DFに当たりながら、山形ゴールに吸い込まれ、劇的な同点弾が生まれた。 

 試合は、2-2の引き分けで終了。同日、松本も引き分けていただけに、勝点差を詰める機会を逸したことは手痛い。さらに、勝点で清水エスパルスに上回られ、セレッソは4位に転落。「勝点1でみんな満足はしていない」と清原翔平も言うように、試合後のセレッソイレブンに笑顔はなく、悔しさをにじませていた。
 ただ、あくまでJ1自動昇格を目指しているセレッソに落ち込んでいる余裕はない。この勝点1を「プラスに考えたい」と言う玉田が、「とにかく自分たちはもう、追う立場なので、ずっと。落としてはいけないと思うので、どんな試合でも。でも、あまり先のことを見過ぎず、次の試合に絶対勝つ。他のことを気にせず。それしかない」と前を向くように、セレッソの一戦必勝の姿勢は変わらない。次節のホームゲーム(10/30・日・vs水戸)でこそ、今回の鬱憤を晴らしてみせる。J1昇格への道は、絶対にあきらめない。

文・前田敏勝