10月30日(日)2016明治安田生命J2リーグ第38節
セレッソ大阪 2-2 水戸ホーリーホック (14:04/金鳥スタ/9,445人)
試合写真・コメントなど
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 第38節を迎える時点で、2016明治安田生命J2リーグは残り5試合。2位・松本山雅FCを勝点4差で追う4位・セレッソ大阪としては、J1自動昇格圏内(2位)入りを果たすためにも目先の1試合では、とにかく勝利が必須。そして今節は、前節に続くキンチョウスタジアムでのホームゲーム。桜色のサポーターの力強い後押しに応えるべく、3試合ぶりの勝利を目指して、水戸ホーリーホックと対戦した。

 スターティングメンバーには、最前線に、J2初先発となる大学卒ルーキーのFW澤上竜二が入ったセレッソ。前半開始から、その澤上の果敢なハイプレスをきっかけに攻め込み、コーナーキックから立て続けに相手ゴールを強襲していく。このまま優勢に進めていくかと思われたが、4分、一瞬の隙を水戸に突かれてしまう。セレッソ守備陣の横パスが緩くなったところを、水戸FW平松宗にカットされると、ショートカウンターを受け、最後は水戸で警戒していた選手の1人、FW佐藤和弘にゴールを献上。なんとも「もったいない」(丸橋祐介)失点で、早い時間帯に先制を許してしまった。

 しかし、この試合でのセレッソは、臆することなく反撃。15分に松田陸の右クロスを澤上が右足ボレーシュートで合わせる。ここでは惜しくもゴールならなかったが、23分、同点に追い付く。ペナルティーエリア中央で杉本健勇からパスを受けたソウザが、相手DFをかわしながら右足でゴールを決めきった。

 その後、セレッソの松田と水戸の湯澤洋介との激しいもつれ合いからヒートアップする場面もあったが、そこからさらに闘争心を前面に出して戦った桜色の戦士たちは、勝ち越しへ一丸となって攻勢を強めていく。ソウザが前半だけで5本のシュートを放てば、山口蛍の強烈なミドルシュートなどでも水戸ゴールを脅かしたが、水戸GK笠原昂史の好守もあって得点には至らない。

 ただ、1-1で迎えた後半早々、セレッソは先に均衡を破ることに成功する。51分、決めたのは、この一戦で一際強い意気込みを持ってプレーしていた松田。「自分自身がセレッソをJ1に上げたいという気持ちが大きい。本当に死ぬ気で戦った」という15番は、右サイドで清原翔平からボールを受けると、「GKが結構(クロスへの対応を)狙っていたので、コースが空いていると思って、イチかバチかでニアを狙った」。そのシュートが鮮やかにゴールイン。この勝ち越し弾で、スタジアムは桜色のサポーターの大歓声に沸いた。

 しかし、ここからまたしてもセレッソに『隙』が生まれてしまう。得点から7分後の58分、全体が引き気味になってしまったところで、自陣ペナルティーエリア付近で水戸に攻められると、またも佐藤にゴールを決められてしまった。そこから再逆転を目指してギアを入れ直したセレッソは、67分に酒本憲幸、79分に山村和也、81分にリカルド サントスを相次いで投入。選手、システムを変えながら遮二無二1点を取りに行き、決定機も再三作ったが決めきれず。結局、2-2のドロー。3試合連続の引分けに終わり、同節で勝利した松本とは勝点6差、3位・清水エスパルスとも勝点3差に開いてしまった。

 先発の澤上の奮闘が光り、攻撃面でも19本のシュートで相手を攻め立てただけに、勝点1獲得に留まったことは、セレッソとしては痛恨の極み。試合後のスタジアムにはブーイングも響いた。
 それでも、可能性のある限りJ1自動昇格圏内入りを狙うのが、セレッソの務め。丸橋は言う。「ファン・サポーターの皆さんも最後までしっかり応援してくれた。貴重な時間を使って僕たちの試合を見に来てくれるということに感謝しなければいけない。それを、僕たちは勝利という形で返さなければいけない。次からは本当に勝つしかない」。

文・前田敏勝