11月3日(木・祝)2016明治安田生命J2リーグ第39節
ジェフユナイテッド千葉 3-0 セレッソ大阪 (16:33/フクアリ/10,948人)
試合写真・コメントなど
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 シーズン終盤に痛恨の3試合連続引き分けと足踏み状態が続いたセレッソ大阪。J1自動昇格へ向けて残り4試合は勝点1たりとも落とせない状況で迎えた今節は、前節でJ1昇格プレーオフ進出の可能性が絶たれたジェフユナイテッド千葉のホームに乗り込んでの一戦となった。
 スタメンは、前節の水戸ホーリーホック戦から2人交代。コンディションが万全ではない山下達也に代わって茂庭照幸が3バックの一角に、2シャドーの右に清原翔平に代わって酒本憲幸が入った。

 前半からボールを握ったのはセレッソ。丁寧に動かしてサイドへ展開するも、クロスは相手DFに跳ね返される。23分には杉本健勇がドリブルで相手ペナルティーエリア内へ進入。DF3人を引きつけて中央へパスを送ったが、酒本のシュートはGKの正面を突いた。前節に続いて1トップで先発した澤上竜二も序盤から裏に抜ける動きを繰り返すなど奮闘したが、相手のマークも厳しく、前節のように躍動する場面はわずか。ボールは握った前半だが、「自分たちからあまりバランスを崩すシチュエーションがなかった」と試合後に千葉のGK岡本昌弘が話すなど、セレッソの決定機と呼べる場面は前述の酒本のシュートのみ。相手の守備を慌てさせる攻撃ができなかった。
 逆に、攻める途中でボールを失い、カウンターを受ける場面も何度か迎えると、43分だった。DFラインとボランチの間を千葉にうまく使われ、流れるようなコンビネーションから中央を破られて失点。最後は井出遥也のシュートを1度はGKキム ジンヒョンが手に当てたが、無常にもボールはゴールに吸い込まれた。

 後半開始から大熊清監督は茂庭に代えて山村和也を投入。システムを4-2-3-1に変更するも、前半と同様、千葉のコンパクトな守備を破ることができない。それでも、55分にはソウザが、60分には杉本がペナルティーエリアの外から強烈なシュートを放つも、惜しくも決まらず。67分には、山口蛍が山村とのワンツーからゴール前に進入してシュートを放つが、GKに止められた。
 74分、3枚目の交代カードとして切り札の玉田圭司を投入した大熊監督だが、この交代直後、千葉に追加点を与えてしまう。サイドからのクロスを中央で受けたオナイウ阿道に鮮やかな胸トラップから豪快なシュートを叩きこまれた。さらに、90分にも試合を決める3失点目も千葉に許して万事休す。
「シンプルにやればいいところで1人ひとりが持つ時間が長くて、取られてカウンター、という悪循環にずっと陥っていた」と試合後に山口も話したように、ビハインドを負った後半は、攻撃がチグハグなセレッソに対して千葉がいい守備から効果的なカウンターにつなげる流れを、1度も変えることができなかった。

J1自動昇格へ向けて足踏みが続いた10月を経て、「勝ち切れない今の雰囲気を破って、勝てる雰囲気を作りたい」(山口)と今節に臨んだセレッソだったが、守備ではバイタルエリアを空けてしまう課題を持ち越して、3試合連続で複数失点。攻撃でも10試合ぶりに無得点に終わるなど完敗だった。

 今節の結果、リーグ戦の残り3試合で2位・松本山雅FCとの勝点差は9に広がり、得失点差を考えても自動昇格の可能性は限りなく遠のいた。それでも、「自分たちしか今の状況は変えられない。まだシーズンは終わっていない。昇格するためにはプレーオフもある。プレーオフで2試合勝つ力は自分たちにあると思う。それを証明しないといけない」とソウザも話すなど、今季の戦いは終わっていない。攻守に課題が山積した今節だが、もう1度、謙虚に自分たちを見つめ、昨季との違いを残りの試合で証明しなければならない。

文・小田尚史