11月12日(土)2016明治安田生命J2リーグ第41節
東京ヴェルディ 1-2 セレッソ大阪 (16:03/味スタ/8,340人)
試合写真・コメントなど
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 前節で自動昇格の可能性は潰えたとは言え、J1昇格プレーオフに向けて状態を高めていきたいセレッソ大阪。東京ヴェルディのホーム、味の素スタジアムに乗り込んでの今節は、開始1分、ソウザのミドルシュートが決まって、セレッソが電光石火の先制点を奪った。シュートの威力も凄まじかったが、シュートに至る過程も見事だった。セカンドボールを秋山大地が拾うと、柿谷曜一朗、秋山、丸橋祐介とつながり、丸橋の斜めのパスに柿谷のスルーを挟んで杉本健勇が秋山へ落とすと、秋山は再び前方の清原翔平へ。テンポよく刻んだパス交換の仕上げとして、清原の落としを受けたソウザの弾丸シュートがゴールに突き刺さった。

 この場面で何度もボールに絡み、推進力を発揮したのが、今季のJ2初出場を果たした秋山だ。「どれくらい体力が持つかわからなかったので、とりあえず前半から行きました」と試合開始からフルチャージ。今季はけがによる離脱が長引き、苦しい時期が続いていたクラブ生え抜きボランチが、日本代表で不在の山口蛍に代わって存在感を示した。

 良い時間帯にゴールネットを揺らすことをテーマの一つに掲げていたセレッソだが、1本目のシュートでクリアしてみせると、18分にも秋山のミドルシュートが相手ゴールを脅かす。20分過ぎからは落ち着きを取り戻した東京Vのパスワークに守備の時間が長くなるも、ここで光ったのが守備陣。前節も体を投げ出して相手のシュートを防いだ田中裕介が、今節も21分に高木善朗のシュートをブロック。33分には澤井直人の決定的なヘディングを丹野研太が阻んだ。後半も立ち上がりから東京Vのペースで試合は進んだが、ここでも丹野が立ちはだかる。53分の高木善朗の直接FK、57分の安西幸輝のシュート、64分の高木善朗のミドルシュートと、いずれも際どいコースに飛んできたシュートを好反応で阻止した。

 守護神の奮闘に応えたい攻撃陣に待望の追加点が生まれたのは74分。決めたのは、途中出場の田代有三だった。柿谷のクサビを受けて杉本に落とすと、素早くゴール前へポジションを移し、杉本のクロスにワントラップから左足一閃。精悍な顔に笑みが弾けた。8月から9月にかけて練習試合を重ねて得点を量産。完全復活まであと一歩に迫るも、痛みが再発するなど度重なるけがに苦しんできたが、先月に復帰を果たすと表情に明るさも増し、紅白戦でも豪快なシュートを決めていた田代。「大事なところで回ってくると信じてやってきた。J1昇格プレーオフでも大きな仕事ができるように、これからまた準備したい」と頼もしいコメントとともに決勝点を振り返った。

 90+2分にゴール前を割られて失点を喫したことは反省材料で、試合終盤にバイタルエリアを使われる課題はJ1昇格プレーオフに向けて改善していきたいポイント。今節はリードしている状況が続き、相手に持たせていたとも言えるが、ボールを持たれる時間も長かった。最後の局面で体を張ること加えて能動的にボールを奪い、奪ったボールを攻撃につなげる形も増やしたい。そういった課題もあったとは言え、19試合ぶりに出場した田代に復活ゴールが生まれれば、今節は24試合ぶりに先発した柿谷曜一朗もフル出場。プレーの質の高さで2点に絡んでみせた。終了間際に相手のファウルを受けて足を痛めるシーンもあったが、試合後はしっかりとした足取りでチームとともに帰阪。「連勝できて良かったです。もう少し頑張れるように、またいい準備をします」と言葉を残してスタジアムを後にした。

「僕にしても、代わりに出た選手にしても、(秋山)大地にしても(田代)有三さんにしても、そういう選手たちが活躍することはチームにとってもいいこと。チームがまたひとつになって挑めると思うので、リーグ最終戦も勝って、J1昇格プレーオフに臨みたい」と試合後に丹野が話したように、代表選手2人を欠くなか、今節はチームの総力を示したセレッソ。前節の勝利で得た良い流れを敵地で継続させ、次節のホーム最終戦に挑む。

文・小田尚史