11月20日(日)2016明治安田生命J2リーグ第42節
セレッソ大阪 1-0 ロアッソ熊本 (14:04/金鳥スタ/11,452人)
試合写真・コメントなど
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 2016年の明治安田生命J2リーグ、42試合目となる最終節に臨んだセレッソ大阪。4位というポジションが確定していたなか、すでに出場が決まっているJ1昇格プレーオフへいい形でつなげるべく、第42節ではホーム・キンチョウスタジアムにてロアッソ熊本と対戦した。
 この一戦では、柿谷曜一朗が第16節・カマタマーレ讃岐戦 以来となるホームゲームでのスターティングメンバー入り。澤上竜二と2トップを組んだ。また、センターバックの一角を担っていた田中裕介が欠場となり、ディフェンスラインには、松田陸、山下達也、藤本康太、丸橋祐介の4選手が並ぶフォーメーションとなった。

 前半に関しては、「(フォーメーションが以前の)4-4-2にまた戻ったことで、練習のなかでは出ない、試合でしか出ないような問題というのは、細かいところでちょっとずつあった」と清原翔平。この試合で新たなチャレンジも試みたなか、ミスなどで後手を踏むケースも見られ、25分には熊本・清武功暉が放った直接フリーキックがクロスバーを叩くなど、セレッソとしてはひやりとする場面もあった。しかし、ボールを奪われてもチーム全体での素早いカバーリング、身体を張ったディフェンスなどでピンチをしのぎ、熊本にゴールを許さない。

 攻撃面では、前半には好機も作るがチグハグさも垣間見えた。それでも、後半に入ると「全員で攻めに行こうという話をしていた」という柿谷を軸に、桜色の戦士たちの果敢な攻めが目立ってくる。松田、丸橋の両サイドバックも絡んで、厚みのある攻撃を展開するセレッソ。開始から10分間で4度の決定機を作るなど、熊本守備陣を脅かす。相手GKやDFの好守などに阻まれ、なかなか得点を決めきれないもどかしさもあったが、65分には酒本憲幸、77分には田代有三を投入し、粘り強く攻勢を続けていくと、迎えた80分、欲しかった先制点を獲得する。

 相手フリーキックの流れから、山口蛍のクリアを田代がキープし、敵陣へと走り出した酒本にパスを送ると、そこからカウンターが発動。一斉に相手ゴール前へと向かっていくなか、その酒本が右クロスをゴール前に送る。ニアサイドに山口が走り込んでおとりになり、ボールはファーサイドに詰めていた柿谷へ。柿谷は後方に折り返すと、そこに来た杉本健勇が右足アウトサイドで見事にゴールを決めきった。複数の選手が関わって生まれた、セレッソらしさが詰まった得点で、均衡を破ることに成功した。

 88分には、柿谷に替わって、機動力とボール奪取力に長けた秋山大地を送り込んだセレッソ。終盤は熊本のパワープレーもあったが、そこは藤本をはじめとする守備陣が跳ね返すなど、J1昇格プレーオフでも焦点となり得る終盤の時間帯も最後まで相手に隙を与えない。追加点こそならなかったものの、後半は熊本にシュートを1本しか打たせず。そのまま1-0で勝利したセレッソは、リーグ戦を3連勝で締めくくった。

 全42試合を終えて、23勝9分10敗。勝点78で4位。1位・北海道コンサドーレ札幌(勝点85)との勝点差は7、2位・清水エスパルス(勝点84)との差は6。目標としていたJ2優勝、J1自動昇格を果たせず、悔しい現実も突きつけられた。
 それでも、セレッソにはまだJ1昇格への道が残されている。2年連続となるJ1昇格プレーオフに向けて、チームは最近の連勝で勝ち癖も再びついてきた。この熊本戦では「後半みたいなサッカーができれば、試合を通して自分たちのペースに持って行けると思う」と山口も言うような、手応えも得ることができた。このいい流れを、1週間後の京都サンガF.C.とのJ1昇格プレーオフ準決勝、我らがホーム・キンチョウスタジアムでの決戦にぶつけるとき。「僕らは必ずJ1に上がります」。柿谷が試合後のセレモニーでそう力強く述べたように、セレッソは一丸となって、前を向いて、J1昇格へと突き進む。

文・前田敏勝