11月27日(日)2016 J1昇格プレーオフ準決勝
セレッソ大阪 1-1 京都サンガF.C. (15:34/金鳥スタ/13,922人)
試合写真・コメントなど
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 J2リーグ戦を今季も4位で終えたセレッソ大阪。J1復帰へ、最後の1枚の切符を得るべく、2季連続となるJ1昇格プレーオフの舞台に進むことになった。その第1戦となる準決勝では、同じ関西のライバルであり、今季のJ2で5位の京都サンガF.C.と対戦。大会規定により、順位が上のセレッソのホーム・キンチョウスタジアムで、一発勝負の戦いに挑んだ。

 当日は冷たい雨が降り続く、あいにくの空模様。それでも、スタジアムには大勢のサポーターが来場し、力強い声援や拍手で、試合前からこれぞホームという雰囲気を作り出した。その大きな後押しに応えるべく、あくまで勝利を目指して、この一戦に臨んだセレッソ。その強い想いが、開始13分という早い時間に実を結ぶ。
 左サイドからテンポ良くパスをつなぎ、山口蛍が中央のソウザにパスを送ると、約30mの距離からソウザがパワフルなグラウンダーのミドルシュートを放つ。雨でスリッピーになったピッチを這うような強いボールは、一度は京都GK菅野孝憲に弾かれるも、このこぼれ球にいの一番に反応したのが柿谷曜一朗。素早く詰めて、チップキックでGK越しのループシュートを決めきった。セレッソに関わる誰もが待ち望んだ、桜の主将の復帰後初ゴール。柿谷にとってはJ2第16節・カマタマーレ讃岐戦(6月4日)以来となる得点により、今季4度目の京都戦にして、セレッソは初めて先行することができた。
「立ち上がりから下がらずに前から行けていたので、そこで(ボールを)ひっかけることができて、攻撃につながったり、守備の部分でうまくいっていた」と言うのは、柿谷とこの試合でも2トップを組んだ澤上竜二。また、球際の攻防でもイレブンが果敢に戦い、決して引くことはせず。前半は主導権を握ったなか、1点リードしてハーフタイムを迎えた。
 
 後半、雨もさらに強まるなか、京都のキーマンの1人・堀米勇輝がピッチに登場。相手が流れを変えに来ようとするが、セレッソの攻勢は続く。55分、56分には澤上に立て続けに決定機が到来。ゴールを枠に収めることができなかったものの京都を押し込んだ。
 ただし、そのなかで次第に京都の攻勢も増え始め、コーナーキックなども増えるなど、セレッソにとって我慢の時間帯もやってくるが、桜の守備陣をはじめ全体で粘り強くディフェンス。70分には長身ボランチの山村和也、81分に酒本憲幸、86分には柿谷に代えて長身FW田代有三をピッチに送り込み、追加点を狙いながらも試合の締めくくりにかかる。83分には京都のエスクデロに決定的なシュートを放たれるも、GKキム ジンヒョンのスーパーセーブもあり、ゴールを割らせない。

 しかし90分、相手陣内での京都のフリーキックからパワープレーを続けられると、最後は有田光希に押し込まれ、土壇場で1-1に追い付かれてしまう。その後も京都のなりふり構わない攻めをなんとかしのぐという状況が続いたが、最後まで勝ち越し点を与えず。勝ちきれなかったものの、大会規定により勝ち上がりが決まり、決勝に進むことができた。

 関西ダービーらしい激闘となったなか、宿敵・京都を振り切り、J1への道をつないだセレッソ。「引き分けで勝ち上がるというのはラッキーなこと。結果的にはよかったと思いますが、次の試合に向けてまたしっかりやり直していきたい」とキム ジンヒョンも反省するように、今季最後の決戦に向けて課題は残った。

 それでも、「ただ、僕らにはまたチャンスがある。このチャンスを必ずつかんで、ホームで全員でJ1に戻りたい」と柿谷も言うように、この勝ち上がりを、必ずや今季の集大成となるJ1昇格プレーオフ決勝での勝利、そしてJ1復帰に結びつけたい。決勝の相手はリーグ戦6位のファジアーノ岡山。規定により、ホーム・キンチョウスタジアムで再び試合を行う権利も得たなか、セレッソの想いは1つ。勝って、ホームに集う桜色の大サポーターとともに喜びを分かち合う。1年前のリベンジを晴らすときが、いよいよ1週間後にやってくる。

文・前田敏勝