2月25日(土)2017明治安田生命J1リーグ第1節
セレッソ大阪 0-0 ジュビロ磐田 (15:03/ヤンマー/33,208人)
試合写真・コメントなど
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 3シーズンぶりにJ1リーグ戦へ戻ってきた、セレッソ大阪。桜の歴史を築いてきた聖地、ヤンマースタジアム長居でのホームゲームでは、名波浩監督率いるジュビロ磐田と対戦した。クラブのレジェンドの1人、尹晶煥監督が指揮をとる初めての公式戦となったJ1第1節、スターティングメンバーには柿谷曜一朗、杉本健勇、山口蛍、キム ジンヒョンをはじめ、昨シーズンも主軸を担っていた選手たちが名を連ねただけでなく、マテイ ヨニッチ、水沼宏太といった新戦力も登場。ただし、別メニュー調整となっていた清武弘嗣は、この試合のメンバーから外れた。

 気温は9.7℃だったものの、好天に恵まれたなか、3万3208人の大観衆が見守るなかで行われた一戦。前半は、今季から加わった日本を代表するレフティ、中村俊輔を擁するサックスブルーのチームに、ボールを回される状況が続いていた、セレッソ。それでも、始動時から尹監督のもと、守備組織の構築に重点的に取り組んでいた桜色の戦士たちは、冷静に対応。ヨニッチ、山下のセンターバックコンビを軸に、相手を食い止め、危険な位置には入らせない。

 36分の磐田MFアダイウトンのミドルシュートも、GKキム ジンヒョンがはじき出す。そのなかで、磐田の新たなストロングポイントでもある、中村の左足からのセットプレーは脅威となり、前半終了間際のコーナーキックではピンチもあったが、相手選手のファウルもあり、なんとかしのぐ。

 一方で、前半、徐々にセレッソもペースをつかみだし、こちらも指揮官のもとでトレーニングから精力的に行っていたサイド攻撃から、好機を作り出していく。27分には松田陸の右からの折り返しを受けたソウザが、前に持ち出してミドルシュートを狙えば、45分には同じく松田のアーリークロスに、杉本がニアサイドに相手DFごと飛び込む。そのボールが相手DFにあたって、磐田ゴール方向に向かうも、ゴールポストに当たり、得点には至らなかった。

「良い流れでやっている。みんなが早くサポートする意識を持とう。最後の最後まで集中しよう」という尹監督の指示のもと、後半に入ったセレッソだが、早々にアクシデント発生。水沼が負傷交代を強いられ、急遽、これがJ1デビュー戦となる丸岡満がピッチに入る。その後半も、最初の時間帯は、磐田ペース。今季からチームに加わった磐田FW川又堅碁の前線での推進力に手を焼くケースも見られ始める。

 ただ、ここでもイレブンは集中を切らさずにディフェンス。「みんな、今まで(始動時から)やってきたことを意識して、11人が全員(ゾーンを)コンパクトにして、みんながみんなをカバーしながらできていましたし、そんなに相手にピンチを作らせなかった」(キム ジンヒョン)。

 そして、次第にボランチの山口やソウザのボール奪取などで、攻勢に転じる機会も増え出す。78分には、山口、関口訓充とつなぎ、最後は、柿谷が左足を振り抜くが、シュートはわずかにゴールの外へ。86分にリカルド サントスを投入し、攻勢を強めたセレッソは、87分には丸橋、アディショナルタイムには柿谷、リカルド サントスに決定機が訪れたものの、いずれも磐田GKカミンスキーに抑え込まれた。結局、無失点と守備の成果は出したものの、得点は生まれず、ユン・セレッソの初陣はスコアレスドローに終わった。

「守備は安定していたものの、やはり攻撃の精密さという部分では少し足りなかった」と課題を述べた尹監督だが、「大勢の方々の応援の力をいただき、その力で選手たちは最後の最後まで頑張って戦ってくれた」とイレブンの奮闘を評価。キム ジンヒョンも「今日の勝点1は、すごくチームとして自信になるし、これからよくなるし、また、点もとれると思うので。勝点1でも大事にしたい」と述べるように、勝つことはできなかったとはいえ、意味のある、手応えをつかめた試合だったと言えよう。その勝点1の価値をさらに高めるためにも、次節以降も、セレッソにとって大事な戦いは続いていく。

文・前田敏勝