3月4日(土)2017明治安田生命J1リーグ第2節
浦和レッズ 3-1 セレッソ大阪 (14:01/埼玉/43,826人)
試合写真・コメントなど
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 3年ぶりにJ1へ復帰したセレッソ大阪にとって、今季初のアウェイゲーム。浦和レッズのホームに乗り込んでの一戦は、日本代表のヴァイッド ハリルホジッチ監督も視察に訪れ、43,826人の大観衆が作り出す熱気がスタジアムに充満する中で行われた。

 セレッソは、開幕戦のジュビロ磐田戦の先発から2人を変更。腰痛で今節の出場を回避したGKキム ジンヒョンに代わって丹野研太がゴールマウスを守り、開幕戦の試合中に右ハムストリング筋損傷を負った水沼宏太の位置には丸岡満が入った。先週の練習に部分合流して順調な回復ぶりを見せていた清武弘嗣は、大事を取って今節も欠場となった。

 リーグ随一のボール回しのうまさを誇る浦和に対し、試合前、「無暗にプレスに行ってもはがされて、ずらされる」と何人もの選手が話すなど、セレッソはプレス位置を高めに設定せず、[4-4-2]の3ラインをコンパクトに保った上でブロックを作り、奪ったボールは手数をかけずに前へ運ぶやり方で対応。浦和にポゼッションでは劣るも、試合の入りは悪くなかった。ただし、高い位置からプレスに行かない分、相手の3バックには自由にボールを持たれ、14分、遠藤航に武藤雄樹へ精度の高いフィードを飛ばされピンチを迎える。ここは武藤のトラップが流れて事なきを得たが、22分、再び遠藤から前線に鋭いクサビが入ると、これを興梠慎三がスルー。受けた武藤がトラップからターン。腰の捻りが利いた振りの速いシュートが決まり、浦和に先制を許した。

 失点後は、セレッソが防戦一方の時間帯が続く。ボールを奪っても浦和の素早いプレスですぐに奪い返され、押し込まれると、37分、左サイドでボールを受けた丸橋祐介がパスの出し所を探している隙に武藤に詰められ、ボールを奪われる。武藤のパスを受けたラファエル シルバのシュートは丹野が弾くも、こぼれ球を興梠に詰められ2失点目。ミスから喫した失点が重く圧し掛かった。

 パススピード、プレスの強さ、プレーの判断といずれも浦和に上回られた前半を経て、後半もその流れは続いた。52分、中盤で山口蛍のパスを青木拓矢にカットされると、青木にそのまま持ち上がられてスルーパスを許す。このパスを受けたラファエル シルバに裏に抜けられ、GKとの1対1を冷静に決められた。

 決定的な3失点目を喫したセレッソだが、このまま終わるわけにはいかない。59分、前線で杉本健勇が粘って獲得したCKから、ソウザが蹴ったボールにマテイ ヨニッチが頭で合わせて1点を返した。チームとしての今季初ゴールにアウェイゴール裏が沸くと、その後、尹晶煥監督はJ1デビューとなる清原翔平をピッチに送り、73分には、丸岡に代えて山村和也を投入。山村は杉本と2トップに近い形を取り、柿谷曜一朗が左サイドに回った。ここから、公式戦5連戦の5試合目で運動量が落ちた浦和に対し、セレッソは高い位置からボールを奪う場面も増え、攻勢を仕掛ける。80分、柿谷のクロスに山村が惜しいヘッドを放てば、87分には清原のシュート性のクロスに柿谷がボレーで合わせてゴールを脅かした。2点目こそ奪うことはできなかったが、終盤の形は今後につながるオプションになり得る可能性を感じさせた。

 始動以降、練習試合、開幕戦と失点も少なく、一度も負けることなくここまできたセレッソだが、今節は昨季のリーグ戦年間勝点1位の浦和に完敗。組織力の差だけではなく、判断の早さや球際の強さも含め、J1の洗礼を受ける形となった。試合後、「守備と攻撃で何一つちゃんとできた部分はなかった」と厳しい言葉で選手を叱咤した尹晶煥監督だが、チームとして熟成を図ってきた年月の違いを考えると、今節の結果も致し方ない部分はある。この試合で得た課題を今後に生かせるかどうかが、今季のセレッソの命運を決める。

文・小田尚史