4月1日(土)2017明治安田生命J1リーグ第5節
セレッソ大阪 2-0 横浜F・マリノス (15:03/金鳥スタ/14,455人)
試合写真・コメントなど
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 中断期間を経て、2週間ぶりに開催されたJ1リーグ戦。公式戦2連勝と勢いの出てきたセレッソ大阪は、4月1日の第5節で横浜F・マリノスとのホームゲームに臨んだ。3月15日にJリーグYBCルヴァンカップで対戦したばかりの相手との再戦となったが、当時とは互いにメンバーも大きく変更。そのなかで、セレッソの先発には、日本代表戦で2試合にフル出場してチームに戻ってきた山口蛍らが入り、さらに、開幕戦となった第1節のジュビロ磐田戦以来、GKキム ジンヒョンが約1カ月ぶりに名を連ねた。ただし、一方で日本代表MF清武弘嗣はケガのために出場を回避。前節のサガン鳥栖戦で負傷したDF山下達也も欠場となり、中盤の一角には関口訓充が、そして、センターバックには、この試合がJ1初先発となる木本恭生が入った。

「サイドをうまく使った攻撃があるチーム」と、戦前に相手を警戒していたのは、尹晶煥監督。「守備の面では、相手の両サイドハーフの選手を抑えようとするのが、まず1つ(狙いとして)あった」なか、「出足を早く、相手よりも先手、先手でポジションを取ったり、相手のパスに反応して動くことができていた」という関口をはじめ、柿谷曜一朗、松田陸、丸橋祐介といったサイドプレーヤーの奮闘などもあって、桜色のチームが主導権を前半から握っていく。特に両サイドバックの松田、丸橋は、齋藤学やマルティノスといった突破力のあるキーマンに仕事をさせず。まさに指揮官の期待に応えるパフォーマンスで、守備に安定感をもたらした。

 そのなかで、攻撃の流れもセレッソにやってくる。開始6分で杉本健勇の右クロスに山村和也がヘッドであわせれば、15分には関口、17分にはソウザがミドルシュートでゴールを脅かす。37分には関口の裏への抜け出し、そして、ドリブル突破からチャンス到来。関口の右からの折り返しを杉本がスルーし、山村に決定機が訪れたが、右足であわせたシュートは惜しくも枠外。それでも、前半から『ユン・セレッソ』らしい、ハードワーク、ハードプレスを主体とした、攻守にアグレッシブなサッカーを展開していた。

 後半に入ると、その序盤ではセットプレーから横浜FMにゴールを脅かされることもあったが、キム ジンヒョンの好守もあり、得点を相手に許さない。すると、欲しかった先制点の獲得に成功する。59分、右サイドで得たフリーキックにて、丸橋が左足でクロスボールをゴール前に放り込む。ゴール前での競り合いで相手DFのクリアボールが上にあがったところを見逃さなかったのが、木本だった。「(ボールの)滞空時間が長くて、考える時間がちょっとあったので、まずはミートすること、枠に入れることを考えていた」という桜の15番は、右足でボレーシュート。ボールは桜色のサポーターの目の前、横浜FMゴールに吸い込まれていった。ルヴァンカップの横浜FM戦でも先制点を決めていた木本が、このJ1の大事な試合でも、見事に均衡を破った。

 その直後、相手の反撃にひやりとさせられるシーンもあったが、チーム全体の粘り強いディフェンスで耐えると、セレッソに追加点が生まれる。貴重なゴールのきっかけを作ったのは、70分から途中出場した丸岡満。山口のパスに反応して前線に飛び出した若きハードワーカーがゴールに向かうチャンスで、ペナルティーエリア内にて相手に倒され、PKを獲得。これをエースの柿谷が落ち着いて決めきった。誰もが待望していた桜の8番のゴールでリードを2点に広げることができた。

 なおも、カウンターから松田の好クロスや、丸岡、途中出場の清原翔平のシュートなどで、積極的な姿勢を最後まで崩さなかった、セレッソ。守備でも最後まで集中をとぎらせず、相手のフォーメーションの変化にもしっかり対応し、完封。結局、2-0で横浜FMを下したセレッソは、ホームでの公式戦3連勝を達成。リーグ戦では初の連勝で、順位を暫定8位に上げることができた。

「今日の試合の運び方、狙いやスコアなど、すべてが、我々が狙ってきたとおりにできた」と振り返った尹監督。「相手を上回る豊富な運動量があったからこそ、いいシーンが多く作れた」と、イレブンの奮闘を讃えた。新たに出番を得た選手たちが活躍するなど総力を高め、かつ、チームが取り組んできた守備でも力強さが増した、セレッソ。4月初陣にて、幸先良く勝利の桜を咲かせることができただけでなく、次節、王者・鹿島アントラーズとのアウェイ戦に向けても弾みをつけることができた。

文・前田敏勝