4月8日(土)2017明治安田生命J1リーグ第6節
鹿島アントラーズ 0-1 セレッソ大阪 (15:03/カシマ/21,078人)
試合写真・コメントなど
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 開幕前、3年ぶりのJ1に挑むにあたり、対戦が楽しみな相手として、セレッソ大阪の選手たちから最もその名が挙がったのが「鹿島アントラーズ」だった。今節、小雨が降りしきる中、敵地、県立カシマサッカースタジアムに乗り込み、リーグ戦3連勝、公式戦4連勝を懸けて、セレッソはその鹿島との一戦に臨んだ。

 スタメン11人は、前節の横浜F・マリノス戦 と全く同じ。控えには、けがから復帰した山下達也と水沼宏太が入った。試合は、立ち上がりから鹿島にボールを持たれる展開となるも、セレッソも、杉本健勇と山村和也の前線から始まる連動した守備で対応。慌てることなく、しっかりと試合に入ることに成功した。すると、最初の決定機はセレッソに訪れる。13分、木本恭生のヘディングでのクリアを収めた杉本が山村に落とすと、山村がDFをかわしてシュート。思い切り良く放たれた強烈な一撃がクロスバーを直撃した。1分後、今度は杉本が昌子源からボールを奪い取ると、そのまま縦に進入。サイドから中へ上げたクロスは惜しくも山村には合わなかったが、前線2人の関係が向上していることが見て取れた2つのシーンだった。鹿島にチャンスらしいチャンスを与えないまま前半を終えようとしていたセレッソだが、一度だけ、42分に中央を割られてヒヤリとさせられたシーンを作られるも、ここはGKキム ジンヒョンがしっかりと防いだ。

 ポゼッション率では鹿島に劣るも、走行距離では圧倒し、試合前、関口訓充がポイントに挙げた「球際の戦い」でも負けることなく前半を優位な形で終えたセレッソが、後半開始早々、試合を動かす。自陣の低い位置でボールを奪った関口が前線の杉本にボールを当てると、そのまま前方へ。杉本が収めてソウザに落とすと、ソウザは前線に駆け上がってきた関口へ絶妙なパスを送った。一気に右サイドを侵入した関口がニアに上げたクロスに合わせたのは、古巣との対戦で試合前から気持ちが入っていた山村。かつての同僚である植田直通のマークをうまく外し、ヘディングでゴールネットを揺らした。

 その後も、セレッソは60分に柿谷曜一朗と山口蛍のワンツーから柿谷がペナルティーエリア内に進入してゴールに迫れば、69分には、スローインの流れから、山口、柿谷、山村とつないで決定機を作るなど、2点目を貪欲に奪いに行く。ただし、ここから残りの時間は、ホームで負けが許されない鹿島の猛攻を受ける形に。本来の主力選手である土居聖真と遠藤康、レオ シルバを立て続けにピッチに投入してきた敵将に対し、尹晶煥監督も動く。山村と関口を下げて山下と丸岡満を投入。システムを[5-4-1]に変えて、1点を守り切る姿勢を明確にした。前からのプレスが効かずに全体が押し下げられ、鹿島の攻撃の圧力を受ける形ともなったが、セレッソの選手たちは最後まで集中力を切らさない。88分には三竿健斗のシュートがポストを直撃して肝を冷やす場面もあったが、試合終了間際には立て続けにキム ジンヒョンが好セーブを見せ、そのままタイムアップ。昨季のJリーグ王者を相手に一歩も引かない戦いぶりで、セレッソが見事、勝点3を手にした。

「集中力、粘り強さによって、こういう結果が得られたのではないかと思います。決して内容でも僕たちが劣っていたとは思いません」と試合後に尹晶煥監督が誇らしげに語れば、古巣相手に殊勲の決勝点を決めた山村も、「ここに戻ってくることを目標にして頑張っていたので、それを実現できて良かったなという気持ちと、しっかりセレッソが勝つことができて良かった」と感慨深げに語った。試合前、「今の自分たちが試される試合になる」とこの試合の重要性を話していた山口は、チームが目指すサッカーがだいぶ形になりつつあることを認めつつ、「次は(大阪)ダービーもありますし、この勢いが果たして本物なのかどうなのか。次のガンバ戦にかかってくる」と勝って兜の緒を締めた。

 ピッチに立った選手全員が最後まで足を止めずに体を張って戦い抜いた素晴らしい勝利を掴んだセレッソ。リーグ戦3連勝と勢いに乗った状態で、次節、ホーム・ヤンマースタジアム長居でのガンバ大阪との大阪ダービーに挑む。

文・小田尚史