4月16日(日)2017明治安田生命J1リーグ第7節
セレッソ大阪 2-2 ガンバ大阪 (14:01/ヤンマー/42,438人)
試合写真・コメントなど
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 J1復帰の今季、3年ぶりに行われた宿敵・ガンバ大阪との『大阪ダービー』。J1リーグ戦第7節・4月16日に待望の大一番がやってきた。12日の時点でチケットは完売。我らがセレッソ大阪のホーム・ヤンマースタジアム長居には大勢のサポーターが詰めかけ、42,438人の大観衆で超満員に。試合前から両チームのサポーターの大声援が響き渡り、ダービーらしい雰囲気が作り出されるなか、リーグ戦では33回目となる、大阪のプライドをかけた戦いに桜色の戦士たちが臨んだ。

 セレッソは、ケガで戦列を離れていたDF山下達也が、J1第4節・サガン鳥栖戦以来となる先発復帰。また、こちらも別メニュー調整を続けていたMF清武弘嗣が、同じく鳥栖戦以来となる登録メンバー入りで、ベンチスタートとなった。

 リーグ戦3連続完封勝利中、公式戦6試合負けなし、J1リーグ戦ではガンバと同じ勝点11で並び、いいムードのなかで迎えた大阪ダービー。勢いそのままに、桜色の戦士たちは序盤からガンバを押し込む。開始45秒の柿谷曜一朗が放った左足でのシュートやソウザのミドルシュートなどで、ガンバゴールを脅かす。守備でも山下が身体を張った顔面ブロックで相手のシュートを防げば、前線からの柿谷のプレスバック、山口蛍の相手への鋭い寄せなど、攻守の切り替えを素早く行い、ガンバにペースを与えない。前半のシュート数はセレッソの6本に対して、ガンバは2本。数字のうえでも圧倒していたが、好機でなかなかゴールの枠をとらえきれず。スコアレスで折り返す。

 後半も、杉本健勇やソウザがヘディングシュートで決定機を作るなど攻め立てていたセレッソ。しかし、決めきれずにいると、一瞬の隙をガンバに突かれてしまう。57分、ガンバから見て右サイドでのスローインから浮き球でつながれるような形になり、そこをなかなか止めきれずにいると、最後は逆サイドから走り込んできたDF藤春廣輝にボールを押し込まれて失点。与えてはいけない先制点をガンバに献上したことで、一転して劣勢を強いられてしまう。

 流れを変えるべく、尹晶煥監督は動く。68分、関口に代えて清武を投入。スタジアムの大歓声に後押しされた切り札とともに、セレッソは反撃に出る。すると3分後、歓喜の瞬間が訪れた。
 左サイドの丸橋祐介からパスを受けて、ペナルティーエリア付近で前を向いたのは、杉本。相手DFとGKをよく見て右足を振り抜くと、ボールは豪快にガンバのゴールネットに突き刺さった。「絶対にこの試合で決める」、戦前にそう誓っていた9番が、まさに有言実行のゴールでセレッソに流れを引き戻した。

 さらに86分、再び桜育ちの大型ストライカーが大仕事をやってのける。左サイドに出たソウザが切り替えして右足でゴール前にクロス。このボールに合わせ、ヘディングシュートでゴールを決めたのが、杉本だった。昨シーズン飛躍を遂げた男が、J1の、大阪ダービーの舞台で、その能力を存分に発揮。また、今季初めて、チームとしても逆転に成功できた。

 このまま勝ち切るべく、アディショナルタイムに入ったのだが、そう簡単に終わらないのが大阪ダービー。90+2分、ガンバにコーナーキックを与えてしまうと、そこから最後は元セレッソの倉田秋にシュートを決められてしまった。結局、試合は2−2のドロー。試合を優勢に運び、リードされても跳ね返すといういい流れがあっただけに、目前で勝利を逃したことに選手たちは悔しさをにじませた。

「本当に、ありえへんくらい悔しい」と言うのは杉本。宿敵からの2012年以来となる勝利、リーグ戦4連勝はならなかったが、それでも「この悔しさというのを力にして、これからセレッソは強くなっていかなきゃいけない」と杉本。尹晶煥監督も「久々にJ1に上がってきて、強豪であるガンバ大阪と、内容的にも結果的にも対等に戦える、そういうふうになってきている。これからに向けて、自信につながっていく」と前を向いた。
 セレッソ成長の証と課題が見えた大阪ダービー。この一戦をきっかけに、桜色の戦士たちはさらなる高みに向かって歩みを進めていく。

文・前田敏勝