4月30日(日)2017明治安田生命J1リーグ第9節
セレッソ大阪 2-0 川崎フロンターレ (19:05/ヤンマー/25,738人)
試合写真・コメントなど
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 2017年ゴールデンウィーク期間、J1リーグ戦では唯一のホームゲームに臨んだセレッソ大阪。J1リーグ戦では勝点13で8位に付けていて、この第9節では同じ勝点13で7位の川崎フロンターレと対戦した。
 セレッソは最近リーグ戦で2試合、ルヴァンカップでも2試合、引き分けが続いていたこともあり、「どうしても勝って4月を終わりにしようと思っていた」と尹晶煥監督。スターティングメンバーには、26日(水)のルヴァンカップ・アウェイのサガン鳥栖戦でフル出場し、ゴールに絡むプレーを見せていた清武弘嗣を抜擢。攻撃的に勝ちに行く姿勢をより鮮明にしたなかで、この一戦に挑んだ。

 本来は、ショートパスを主体に川崎Fが攻撃的なサッカーを繰り広げ、セレッソは我慢強い守備で対抗するという展開も予想されたが、蓋を開ければ、勝利への強い意欲を示すかのようにセレッソが前半から川崎Fのお株を奪うような攻勢を仕掛ける。
 17分にはソウザが強烈ミドルシュート、その後もコーナーキックからのヘディングシュートで相手ゴールに襲いかかる。25分には丸橋祐介が柿谷曜一朗とのコンビプレーでゴールに迫り、その1分後には山口蛍がミドルシュート。さらに30分にも清武の左クロスに杉本健勇が合わせるなど、次々と得点の匂いを感じさせるプレーが飛び出す。しかし、川崎Fの韓国代表GKチョン ソンリョンの再三にわたるビッグセーブなどに阻まれ、なかなか先手を奪えない。

 すると前半終了間際、川崎FのFW小林悠の決定機はGKキム ジンヒョンが阻んだが、そのこぼれ球での対応でペナルティーエリア内でセレッソにファウルがあったとして、ジャッジは相手のPKに。大ピンチを迎えたのだが、自軍ゴールに大きく立ちはだかったキム ジンヒョンの圧力、セレッソイレブンの勝利への強い想い、応援に駆けつけた多くのセレッソサポーターの祈りが通じたのか、小林悠のキックはクロスバーに当たってゴール上方へと外れていき、難を逃れた。「あそこでやられずに前半を終わったことで、流れを取れた」(キム ジンヒョン)。

 後半に入っても、丸橋、松田陸の両サイドバックが果敢に攻撃参加するなど、圧力を強めて1点を取りに行ったセレッソ。その姿勢が、67分に実を結ぶ。右サイドから、清武が絶妙なパスを前方に出すと、これに反応したのが山村和也。右足を鋭く振り抜くと、地を這うようなシュートが鮮やかに川崎Fゴールに突き刺さった。 

 65分に松田、1−0とリードしたあとの82分に丸橋と、ハードワークを続けていた両サイドバックが足をつるなどの影響もあって交代する事態にもなったが、代わって入った田中裕介と水沼宏太がしっかり守備からゲームをコントロール。また、80分ごろからは山村がディフェンスラインの一角に入り、84分にはソウザに代えて秋山大地も投入。守備を固めながらカウンターを狙う形へと切り替えていったセレッソ。87分、試合を決める追加点を獲得する。キム ジンヒョンのロングフィードをきっかけに、杉本が競り、そのこぼれ球を清武、柿谷と素早くつなぐと、柿谷のシュートのこぼれ球に鋭く反応した清武が冷静にゴールに押し込んだ。2012年4月28日(J1第8節ジュビロ磐田戦)以来となる、待望されていたセレッソ復帰後初のJ1での得点に、清武の笑顔がはじけ、イレブンも歓喜。スタジアムは興奮のるつぼと化した。 

 そして、最後まで集中を途切れさせなかった『ユン・セレッソ』は2−0で完封勝利し、公式戦5試合ぶりの白星。J1リーグ戦での勝点を16として、首位・浦和レッズと3差の5位に浮上することができた。「最後の最後まで頑張ったことが、勝利という結果を呼び寄せた」と尹監督。これで公式戦10試合負けなしとなり、4月最後も最高の形で締めくくることができた。それでも、「僕らはもっともっと勝ちたいし、ここで気を緩めるところではないので、しっかりまた次に切り替えて、この勝ちはもう忘れて、また次に勝ちに行きたい」とキム ジンヒョンも気を引き締めるように、チームはこの1勝に浸ることなく、すぐに次の試合を見据えていた。

文・前田敏勝