5月14日(日)2017明治安田生命J1リーグ第11節
セレッソ大阪 5-2 サンフレッチェ広島 (15:03/金鳥スタ/14,351人)
試合写真・コメントなど
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 5月のリーグ戦では黒星発進となったセレッソ大阪。連敗は絶対に避けるべく、14日(日)にやってきた第11節では、サンフレッチェ広島とのホームゲームに臨んだ。
 最近の試合では決め手に欠くシーンも見られたセレッソだが、その鬱憤を晴らすかのように、この試合では攻勢をかける。最初の決定機は4分、山口蛍の縦パスを受けた清武弘嗣が、ゴール前へ右クロスを送ると、これに合わせた柿谷曜一朗がダイレクトシュート。しかし、これは相手GK林卓人の正面を突き、得点ならず。また、その後も山村和也のポストプレーから杉本健勇にシュートチャンスが訪れるなど、開始10分の勢いはホームチームにあった。

 しかし、先手はアウェイの広島に献上。13分という早々に劣勢を強いられる形となったセレッソは、25分にもピンチがあったのだが、セレッソの守護神キム ジンヒョンの好セーブで難を逃れる。そしてここから、桜色の戦士たちが反撃開始。その扉を開いたのは杉本だった。29分、山村が右サイドを突破し、ゴール前にクロスを送ると、そこに走り込んできた9番が右足を振り抜く。ボールは相手DFに当たりながらゴールネットに吸い込まれた。指揮官が理想とするサイド攻撃から、桜魂を持つストライカーの闘志あふれる一撃で試合を振り出しにすると、この1点で活気を取り戻したホームチームは攻勢を緩めない。

 追加点はその4分後の33分。『いい守備からいい攻撃』を実践するように、相手ボールをカットしてからカウンター攻撃を発動。杉本のドリブルから、パスを受けた柿谷がシュート。これはゴールポストに当たったが、そのこぼれ球に自陣から相手ゴール前まで懸命に詰めていた清武が難なく押し込み、逆転に成功した。さらに43分には、丸橋祐介のコーナーキックから、マテイ ヨニッチがニアサイドでヘディングシュートを合わせ、3-1とリードを広げた。

 後半に入り、56分には相手の特長である両サイドを広く使った攻撃から、最後は広島MFミキッチに豪快なシュートを叩き込まれ3-2と1点差に詰め寄られたが、その2分後、すぐに桜色の戦士は取り返す。そのゴールを決めたのも、杉本だった。自陣での山村のボールカットからカウンターを仕掛け、ボールを受けた杉本がハーフウェイラインからペナルティーエリア付近までドリブルで独走。そこから、最後は相手DFの股を抜きながらゴールを決めきった。さらに、とどめとなる5点目は、再び丸橋のコーナーキックから。杉本がニアサイドでヘッドにてボールをすらし、最後はゴール前にいたヨニッチが押し込んだ。

 その後も、得点にはつながらなかったとはいえ、27.1度という暑さのなかでも、動きが落ちなかったセレッソ。丸橋やソウザが力強いドリブルからカウンターでゴールまで迫るなど、貪欲にゴールを奪う姿勢を見せれば、守備では4点目を取ったあとに山村をディフェンスラインの一角に下げ、相手の反撃に対応し、しっかり守備を固める。
 83分にはその山村に代えて茂庭照幸を投入。「『セレッソ大阪で(J1通算)300試合を達成できた』というのが個人的にすごくうれしく思う」と言う桜愛の強いセンターバックとともに、チームは最後まで集中を切らさず、その後の失点を食い止め、試合終了。結局、今季最多となる5得点を奪ったセレッソが勝利し、ホームでの今季公式戦無敗を継続した。 

「前節みたいに自分たちで試合を崩すことはなく、しっかり(守備の)ブロックをして、最初からカウンターが結構決まっていたので、そういう狙いでみんなやっていた。バラバラにならず、一体感を持ってやれた」と清武も言うように、チームとして1つの方向を向いて戦い、強敵・広島に勝ちきった意義は大きい。「攻撃と守備がお互い信じ合いながら、うまくいい形でやれているから、結果が付いてきている」と、山下達也。この試合のように、『ユン・セレッソ』の長所をしっかり示せる試合を、これからも増やしていきたいものだ。

文・前田敏勝