5月24日(水)JリーグYBCルヴァンカップ第6節
セレッソ大阪 1-0 ヴィッセル神戸 (19:03/金鳥スタ/8,342人)
試合写真・コメントなど
----------

 5月後半にやってきた、隣県のライバル・ヴィッセル神戸との2連戦。その第1戦となった24日(水)、JリーグYBCルヴァンカップ グループステージ第6節で、セレッソ大阪はキンチョウスタジアムでのホームゲームに臨んだ。Bグループで2位のセレッソ(勝点11)と、1試合消化が少ないながら首位に立つ神戸(勝点12)との上位対決となった。
「今までルヴァンカップを戦ってきた選手たちが努力して、今の僕らがこの位置に立っている。そして、この雰囲気を作ってくれたのも、この試合を楽しみにしているのも、その選手たちだ」と戦前に述べていた尹晶煥監督。この試合では、茂庭照幸らルヴァンカップで出場を重ねる選手たちが主に名を連ね、20歳の西本雅崇はトップチームの試合で初先発。また、負傷が癒えた澤上竜二は今季初めてスタートからピッチに立った。さらにセレッソU-18の瀬古歩夢と喜田陽の今後が楽しみな生え抜きの若手有望株2人もベンチ入り。その一方で、J1第12節・大宮アルディージャ戦の先発11人はベンチ外になり、FWリカルド サントスも累積警告により出場停止。U-20日本代表としてFIFA U-20 ワールドカップ韓国大会に参戦中の舩木翔も欠場となった。

 渡邉千真、キム スンギュ、岩波拓也ら主力を揃える神戸に挑んだセレッソ。序盤からホームの声援を力にアグレッシブな姿勢を発揮する。
7分には福満隆貴が、10分には澤上が相手ゴールを脅かすと、11分、相手のファウルで得たフリーキックから先制に成功。敵陣左サイドから田中裕介の蹴ったボールをファーサイドで木本恭生が折り返し、ゴール前に上がっていた藤本康太が右足ボレーシュート。これがGKの頭を越え、神戸ゴールに吸い込まれる絶妙のループシュートとなった。この日、キャプテンを務めた酒本憲幸に次いで、セレッソで2番目の古参選手(13年目)でもある背番号4が、チームに勇気を与えるゴールをもぎ取った。

 その後も、前半は水沼宏太、福満、関口訓充らが絡んで追加点のチャンスを作るなど、攻勢を展開したセレッソ。守備でも、神戸が反撃を仕掛けて来るなか、田中の効果的なディフェンスで相手の右サイドを封殺するなど、隙を与えない。
 ただし、この試合で引き分けでもグループ1位が確定する神戸が、後半から大森晃太郎を投入して圧力を強め、セレッソは自陣に押し込められる時間も増えてくる。そこで指揮官は思いきった策をとった。ボランチの木本をディフェンスラインに入れ、5バック気味の形に移行して守備を固めると、68分、「身体的にもすごく強く、ヘディングもよくて足下(の技術)もいいものを持っている」と指揮官も評価する2000年生まれの16歳・瀬古を抜擢。73分には岸本武流を加えて前線も活性化し、堅守速攻を鮮明にする。その3分後には、岸本の突破をファウルで止めた神戸MF三原雅俊が2枚目の警告で退場。セレッソは残り約15分、数的優位にも立つことができた。

 しかしながら、神戸の数的不利を感じさせない猛攻の前に、自陣ペナルティーエリア内でなんとか跳ね返す場面が続いたセレッソ。それでも、イレブンの集中力は最後まで途切れない。終盤のピンチでも、神戸FW渡邉のヘディングシュートをGK丹野研太がスーパーセーブで阻めば、途中出場の清原翔平をはじめ、全体が身体を張り続けた。結局、1-0で逃げ切ったセレッソ。4勝2分無敗でグループステージを締めくくり、Bグループで首位に浮上することができた。

「相手のほうが力があるのはわかっていたが、11人+ベンチメンバーの18人でやれば相手の力を上回れると思った」と木本も振り返るように、チームの総力を結集して戦ったからこそ、この勝利を手にしたと言えよう。「チームとして戦おうとするその姿はすごくよかった。選手たちに改めて、『本当にありがとう』、そして『ご苦労さま』というメッセージを贈りたい」と尹監督も賛辞を惜しまなかった。
 グループ1位通過については、最終節の神戸の結果に委ねられる形となったが、「次につながる試合ができた」と殊勲の藤本。この一戦で得た自信と勢いを、すぐにやってくるJ1での神戸戦、そして、その先にもつなげていきたいものだ。

文・前田敏勝