5月28日(日)2017明治安田生命J1リーグ第13節
ヴィッセル神戸 1-2 セレッソ大阪 (17:03/ノエスタ/20,391人)
試合写真・コメントなど
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 ルヴァンカップ・グループステージ第6節 から中3日でのヴィッセル神戸との再戦。舞台をリーグ戦、そして神戸のホーム・ノエビアスタジアム神戸に移して行われた関西ダービー第2ラウンドは、セレッソが1-2で勝利。“対神戸”2連勝を果たすとともに、リーグ戦での順位も暫定3位に浮上した。

 ルヴァンカップから先発11人を総入れ替えして臨んだ今節。試合前、尹晶煥監督が「相手はルヴァンカップで僕らに負けているから、(カップ戦より)もっと激しくもっと荒く(タフに)戦ってくる」と話していた通り、球際やセカンドボールへの争いが試合のベースにある中、前半の主導権を握ったのはセレッソだった。
3分、杉本健勇のクロスに山村和也が飛び込んで最初のチャンスを迎えると、7分には、山村が収めて杉本が清武弘嗣とのワンツーで抜け出してGKとの1対1になりかける。22分には、左サイドの高い位置でのスローインの流れから、ソウザがミドルシュート。DFに当たってコースが変わったシュートがゴールへ向かうも、韓国代表GKキム スンギュに防がれた。27分には鮮やかなパスワークから神戸陣内に攻め入れば、28分にはCKから清武、杉本が連続してシュート。
 そして、歓喜の瞬間は29分に訪れた。マテイ ヨニッチのロングフィードに抜け出した山村が、神戸のセンターバック岩波拓也の裏を取ると、右足アウトサイドで巧みにトラップ。GKが前に出てきたところをスライディングで流し込み、セレッソが待望の先制点を奪った。 

 ここからさらに畳み掛けたいセレッソだったが、策士・ネルシーニョ監督の打った手により、前半の終了間際は後手に回る。36分、大森晃太郎に代わってピッチに入ったウエスクレイにボールを受けられ、「真ん中で自由にさせ過ぎた」(松田陸)と、リズムを作られてしまう。39分のニウトンの強烈なシュートこそキム ジンヒョンが好守でしのいだが、直後に神戸に同点ゴールを決められる。ウエスクレイが起点となり、中坂勇哉、高橋秀人とダイレクトでつながれると、最後は神戸のエースストライカー・渡邉千真に豪快な一撃を決められた。

 仕切り直しとなった後半は一進一退の攻防が展開される中、尹晶煥監督の決断も早かった。59分に柿谷曜一朗に代えて水沼宏太をピッチに送ると、水沼を右サイドへ、右にいた清武を左サイドへ移す。すると5分後、この布陣変更が早速、結果に結びつく。左に移ってボールタッチの回数を増やした清武から裏に出たパスを、山村がスペースに流れながらテクニカルなトラップで引き寄せ、ファーサイドの水沼へ狙いすましたクロス。この瞬間、「シュートを打つことは決めていた」水沼がダイレクトでニアへシュート。GKキム スンギュの手を破り、ゴールネットへ突き刺した。ゴール後、水沼は思いを込めたジャンピングガッツポーズで喜びを表現した。
 66分には、前半終了間際にニウトンとの接触プレーで下腹部を痛めた杉本に代えて澤上竜二を投入した尹晶煥監督。J1リーグ戦初出場となった澤上はファーストタッチでしっかり収めてチャンスを作ると、その後も70分に松田のクロスに飛び込むなど躍動感たっぷり。

 守備では、手を焼いていたウエスクレイに対してソウザが監視を強めることで、神戸の攻撃を抑えると、80分セレッソに決定機。山村がDF3人を引きつけて清武へスルーパスを送り、清武がGKと1対1を迎えたが、ここはGKの素早い対応もあり、シュートまで持ち込むことはできなかった。勝負を決める3点目こそ奪えなかったセレッソだが、前半の終盤にバタついた守備を修正した後半は、神戸に決定機を許すことなく試合を進めた。

 インテンシティーが高く、両指揮官の采配が試合を動かす見応えたっぷりの試合は、セレッソが1-2で競り勝ち、24日に行われたルヴァンカップに続き、神戸戦2連勝を飾った。試合後、決勝点を決めた水沼を祝福する指揮官と選手たち。チームの一体感が伝わってくる光景がピッチに広がり、また1つ、チームとしての階段を登った。
リーグ戦3連勝、公式戦5連勝で5月の戦いを締め括ったセレッソは、ACLの関係で、今節は試合がなかった浦和レッズを抜いて暫定3位に浮上。6月以降の戦いへの期待感も膨らむ好位置に付けた。

文・小田尚史