6月17日(土)2017明治安田生命J1リーグ第15節
セレッソ大阪 1-1 清水エスパルス (19:03/ヤンマー/22,737人)
試合写真・コメントなど
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 代表戦が行われたこともあり、2週間ぶりの開催となった、J1リーグ戦。その第15節で、セレッソ大阪は、清水エスパルスとのホームゲームに臨んだ。この一戦では、主軸のひとり、ソウザが累積警告により出場停止。そのため、ボランチの一角には、JリーグYBCルヴァンカップでもコンスタントに出場を続けて活躍してきた木本恭生が、J1では第6節鹿島アントラーズ戦以来となる先発を果たした。また、日本代表戦が行われたイランから14日に戻ってきたばかりの山口蛍も、同じく韓国代表戦が行われたカタールから戻ってきたキム ジンヒョンとともに、元気にスターティングメンバー入りした。

 この試合まで、リーグ戦4連勝、カップ戦を含めると公式戦6連勝中だったセレッソ。ただし、「気をつけないといけない試合だと思うし、入り方を間違わないように、集中して入れればと思う」と山下達也も戦前に述べていたように、中断明け初戦の試合の入り方は、重要なポイントだった。ところが、前半早々の3分、清水に一瞬の隙を突かれてしまう。セレッソ自陣右サイドでの清水スローインから簡単につながれて、チアゴ アウベスの左クロスを、最後は鄭大世にヘッドで押し込まれた。「失点したのは完全に集中していなかったと思う」と、チームを代表して猛省していたのは、主将の柿谷曜一朗。最も警戒していたはずの清水の2トップに、簡単に崩されてしまった。

 それでも、セレッソはすぐに反撃開始。9分には絶妙のタイミングで右サイドを飛び出した水沼宏太が、右クロスでチャンスを演出。これをゴール前で杉本健勇があわせるも、シュートは清水GK六反勇治に阻まれ、こぼれ球を果敢に競りに行った山村和也のヘディングシュートも、惜しくも枠の上を越えてしまう。その後、一時は清水のハイプレスに苦しむところもあったとはいえ、徐々に相手陣にて押し込むと、丸橋祐介、松田陸の両サイドバックの攻撃参加、今季得意とするセットプレーなどで、攻勢を強める。しかし、ゴールを決めきれず、前半は0-1で折り返す。

 後半に入ると、尹晶煥監督が動く。「今日はどうしても勝負をつけたかった」という意図もあり、負傷明けの清武弘嗣をピッチに送り込む。その清武が「このポジションは自分が一番したいポジションですし、流れを簡単に変えることのできるポジション」というトップ下に入り、スルーパスや動き出しを起点に、桜の反撃を加速させると、セレッソはボディブローのように手数をかけて相手に圧力を加えていく。ただ、61分には杉本、77分には柿谷のシュートで相手ゴールを脅かすが、決定打にはつながらない。

 そこで尹監督は82分、松田に代えて、藤本康太をセンターバックの一角に投入。後ろを3バックにしつつ、攻撃に枚数を増やしていく。終盤の89分には最後の一手として澤上竜二を前線に入れ、ゴール前にパワーをかけていった。すると、アディショナルタイム、ようやく試合を振り出しにもどす。相手の最後の選手交代が行われた直後の右サイドでのフリーキックで、一度はゴール前でクリアされるも、こぼれ球を再び中に入れると、藤本が相手と競り合った際に、相手DFがハンドの反則。これでPKを得る。このPKを、清武が気合いを込めてゴールに叩き込み、同点に。セレッソの執念がまさに実った。そこからも勝ち越しを狙って攻めたが、結局1-1でタイムアップ。ホーム無敗はキープしたものの、2005年以来となる5連勝達成はならなかった。

「立ち上がりに失点してしまって、すべてゲームプランが崩れてしまったというか…。そこから結構チャンスもあったのですが決めきれず、ずるずるといってしまったところがダメだった」と丸橋も言うように、清水の狙いにはまる形になったのは、セレッソの反省点。それでも、「ビハインドからでも選手たちは最後の最後まで戦って、引き分けまで持っていくことができました。これは選手たち全員が最後の最後まであきらめず走ってくれたからであり、今のチームの力だと思う」と尹監督もいうように、攻め抜く姿勢、攻守にハードワークを怠らなかったことが、勝点1を呼び込んだ。「この拾った勝点1を大事にできれば」と藤本も言うように、この試合の奮闘の価値を高めるためにも、次戦以降もセレッソにとって大事な戦いは続いていく。

文・前田敏勝