6月21日(水)第97回天皇杯2回戦
セレッソ大阪 2-0 新潟医療福祉大学 (19:00/金鳥スタ/2,194人)
試合写真・コメントなど 公式記録
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 第97回を迎える天皇杯にて、2回戦から登場することになったJ1、J2勢。そのなかで、セレッソ大阪は、新潟県代表の新潟医療福祉大学と初めて顔を合わせた。
 この一戦はJ1リーグ戦の合間、ミッドウィークの6月21日(水)に開催されたが、先週末のJ1リーグ戦中断期間明けの第15節・清水エスパルス戦 にて、思うような戦いをできなかったこともあり、「試合の雰囲気(流れ)をまた取り戻すための試合」と尹晶煥監督。これまでは日程も考慮しつつ、J1リーグ戦とルヴァンカップで大きくメンバーを入れ替えることもあったのだが、今回はアマチュアチーム相手といえども、山口蛍、マテイ ヨニッチ、水沼宏太といった清水戦でも先発フル出場した選手たちが先発で登場。さらに、負傷明けながら清水戦で後半45分間プレーし、同点弾も決めた清武弘嗣が、トップ下のポジションで先発。清水戦では累積警告による出場停止で欠場を余儀なくされたソウザも、満を持してこの試合に出場した。

「先制点を早く取ることで、試合の運び方もやりやすくなる」、戦前にこの試合のポイントを述べていた尹監督。「今日の序盤はあまりうまくリズムを取ることができませんでした」と決して満足いく立ち上がりではなかったが、「でも、選手たちは早くリズムを取り戻すことができ、先制点を早く奪うことができた」。
 先制したのは前半10分。その起点となったのは、清武だった。相手守備陣の不意を突くような絶妙のスルーパスを配球。そのボールを、うまく相手の背後に抜け出して受けた水沼が、左足で冷静にゴールを決めた。「いい形で崩せて、あとは(水沼)宏太がいい動き出しをしてくれて、僕はもう(スルーパスを)出すだけでしたし、よかったと思います」。清武の真骨頂ともいえるパスセンスが見事に得点につながった。

 その後も、たとえボールを奪われたりしても、「切り替えろ!今休むな!」という水沼の大きな声が響き渡るなど、気を緩めなかった桜色の戦士たち。すると前半19分、追加点を獲得する。左から清武、山口、水沼とつなぎ、水沼が優しくボールを後方に下げたところに飛び込んできたのは、右サイドバックで先発した田中裕介。「展開も、左から来て、右に出て、(水沼)宏太がしっかり落としてくれたので、僕はしっかりシュートを打つということを心がけていました。逆サイドにGKが寄っていたので、ニアに、逆に打つというのは決めていました」という背番号5が右足一閃。このシュートがきれいにゴールに吸い込まれた。相手の新福大の監督は、かつて田中が桐光学園高校時代に師事していた佐熊裕和監督。「教え子にやられた」と恩師に言わしめた一撃で、セレッソのリードを2点に広げた。

 しかし、ここからセレッソは流れを加速できなかった。前半には清武やヨニッチ、後半も関口訓充、澤上竜二、ソウザ、そして後半途中から入った福満隆貴や杉本健勇らにも決定機は訪れたものの、決めきれず。逆に細かなミスも散見されたセレッソは、「ハードワークをするチームであり、サイド攻撃はいつもやっている自分たちのプレースタイル」(新福大・熊谷崇大)という相手のサッカーに苦戦。ピンチも招いたが、GK丹野研太やヨニッチ、茂庭照幸といった守備陣を中心に最後まで粘り強く身体を張ってディフェンス。相手にゴールを許さない。結局2-0で勝利を収めたセレッソは、2回戦を突破。3回戦では同じJ1のアルビレックス新潟と対戦することが決まった。

「選手たちはすごく多くの得点をすることはできませんでしたが、試合の運び方とかに関しては、次の試合につながるところは絶対にあると思います。まず勝ったことに満足して、次の試合にもっとうまくできるようにしたい」と尹監督も振り返るように、相手を圧倒できなかったが、とはいえ一発勝負のカップ戦は結果こそが何よりも重要。そして、次のJ1リーグ戦、ルヴァンカップや天皇杯に、ここで出た課題を生かしていきたいものだ。セレッソのさらなる高みを目指す戦いは、まだまだ続いていく。

文・前田敏勝