7月2日(日)2017明治安田生命J1リーグ第17節
セレッソ大阪 3-1 FC東京 (19:03/金鳥スタ/14,305人)
試合写真・コメントなど
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 2017明治安田生命J1リーグ前半戦最後となる第17節は、7月最初のホームゲームとなったセレッソ大阪。2日に行われた試合では、FC東京をキンチョウスタジアムに迎え撃った。前節のベガルタ仙台戦 からはスターティングメンバーを1人変更。負傷離脱を余儀なくされた清武弘嗣に代わり、水沼宏太が2試合ぶりに先発した。

 ナイトゲームにも関わらず、気温28.8℃、湿度69%という環境。歩けば汗が噴き出るような、肌にまとわりつくような蒸し暑さのなかで行われた試合で、前半のセレッソは「ちょっと動きがみんな重い感じで、流動性というところが攻守にわたってあまりなかった」(山村和也)。お互いに攻め合う展開になるものの、FC東京の快足FW永井謙佑を生かしたカウンター攻撃に苦しむ。

 すると21分、相手の術中にはまってしまう。敵陣に攻め込んでいたところで、相手DFの縦パスをハーフウェイライン付近でDF山下達也が果敢に奪いにいこうとしたが、永井にうまく身体を入れられてセレッソ陣内に抜け出される。同じくボールを奪いに行ったDFマテイ ヨニッチもわずかに届かず。GKキム ジンヒョン1人がゴール前で立ちはだかったのだが、ともに走り込んできたピーター ウタカとの1対2の局面では、どうすることもできず。最後は永井からパスを受けたウタカに難なく決められ、先制点を献上してしまった。

 それでも、「俺たちは(先制されても)全然焦りはなかった」と杉本健勇。「(柿谷)曜一朗くんを中心に『焦らんとやろう!絶対に点は取れるから。その代わり、もう後ろは失点なしでいこう』と落ち着いて話ができていた」桜色の戦士たち。前半の終わり頃から決定機を作り出していくと、0-1で折り返したハーフタイムで「後半は積極的に行こう」という尹晶煥監督の檄を受けたなか、後半はさらなる猛攻を仕掛けていく。反撃への狼煙をあげたのは、桜の9番だった。57分、杉本がいったん右サイドの水沼へパスを送ると、的確に送られた右クロスを杉本自身がヘッドを合わせてゴール。試合を振り出しに戻した。

 ここから桜色のサポーターの声援と拍手がさらにボリュームを増してキンチョウスタジアムを覆い、まさに『圧力釜』となって、セレッソの攻勢に拍車をかける。得点直後にはまたも永井のカウンターからピンチを迎えたが、DFの懸命な戻りとキム ジンヒョンの我慢強い寄せで、相手のシュートはゴールマウスのわずか上に外れ、事なきを得る。すると、勝ち越しは63分。またもお膳立てをしたのは水沼だ。オーバーラップした松田陸に、絶妙のスルーパス。これを受けた背番号2は、GKとの1対1を迎えたなか、選択したのはシュート。ニアサイドのわずかな隙間にゴールを決めきった。

 そして、残り約20分の段階で山村をディフェンスラインの一角に下げて守備を固め、逃げ切り態勢に入ったセレッソ。79分にはFC東京のコーナーキックからピンチを迎えるも、ゴールライン付近でのヨニッチのクリアもあってしのぐと、83分には試合を決定づける3点目が生まれる。相手コーナーキックからのカウンター、終盤の時間帯にもかかわらず、桜色の戦士たち5選手が一挙に上がっていく。丸橋祐介のシュートは相手DFに阻まれたが、そのこぼれ球をつなぐと、ボールを受けたソウザが強烈なミドルシュート。これが見事にゴールネットに突き刺さった。終了間際にもチャンスを作るなど、攻勢を緩めなかったセレッソは、3-1で逆転勝利を達成。同日の試合で柏レイソルが敗れたため、前半戦17試合を終えて暫定首位に浮上。2005年シーズン以来、J1順位表 の最も上に立つことができた。

「本当に、全員が1つになって、うまくいけているなという感じがする」と尹監督も述べるように、今のチームには一体感があり、それが結果にもつながっている。ただ、「見てもらってわかるようにいいチームになってきていると思いますが、でも、そういう時こそ過信せず、地に足を付けてやらなければいけないことがたくさんある」と杉本が気を引き締めたように、まだリーグ戦は折り返し地点。この前半戦の積み上げを生かすべく、まずは次節のホームでの首位対決・柏戦をはじめ、タフな7月戦線を乗り越えることが、桜色の戦士たちには求められる。

文・前田敏勝