7月29日(土)2017明治安田生命J1リーグ第19節
ガンバ大阪 3-1 セレッソ大阪 (19:03/吹田S/36,177人)
試合写真・コメントなど
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 大阪ダービー史上初となるサッカー専用スタジアムで行われたJ1リーグ戦34回目の大阪ダービー。試合開始前から両クラブのサポーターが作り出す熱気は凄まじく、舞台は完全に“出来上がっていた”。

 開始早々、互角の入りを見せた前半。13分にCKからピンチを迎えたセレッソ大阪だが、ガンバ大阪の新戦力・ファン ウィジョのシュートはバーを越えた。15分には、藤本淳吾のスルーパスに抜け出したファン ウィジョにゴールネットを揺らされたが、ここはオフサイド。2つのピンチをしのいだセレッソが、以降は主導権を握る。20分、セレッソのFKをガンバDFがクリアしたボールを拾った山口蛍が強烈なシュートでゴールを脅かすと、26分には、丸橋祐介のクロスがDFにクリアされたボールを今度は水沼宏太がダイレクトでシュート。前半の終盤は立て続けにCKを獲得してガンバを攻め立てたセレッソは、得点こそ奪えなかったものの、左サイドを中心に起点を作り、流れの中からゴールに迫る形を作り出した。守備でも、この試合、コンディションが万全ではない山下達也に代わってCBの一角に入った木本恭生が「前半は、相手FWに何回か裏に抜けられたけど、抑えることはできていた」と振り返ったように、組織を崩される場面はなく、ファン ウィジョにも仕事をさせなかった。

 セレッソが試合をコントロールした前半を経て、迎えた後半開始早々、試合は動いた。51分、キム ジンヒョンのキックに山村和也がヘディングで競り勝ち、落としたボールに、ガンバDFの裏を取った杉本健勇がドリブルで運んでシュート。対応にきた藤春廣輝をかわすと、GK東口順昭も破り、アウェイゴール裏に歓喜をもたらした。この杉本のリーグ戦4試合連続となるゴールにより、試合は完全にセレッソペースに。61分には、左サイドでパスをつなぎ、ゴール中央で山口がフリーでボールを受ける。シュートも打てた場面だったが、山口はパスを選択。山村へ鮮やかに通ったが、ここは惜しくもオフサイド。続く64分にもセレッソに決定機。杉本が懐の深いキープから左サイドへ展開すると、柿谷と丸橋でボールを運び、中央の山口を経由して右サイドの水沼へボールが渡る。水沼のピンポイントクロスに杉本がヘディングで合わせたが、ここはクロスバーを直撃した。

 すると、直後の65分、藤春のクロスをファン ウィジョにヘディングで決められ、ガンバに同点に追いつかれたセレッソ。その後、一気に湧き上がるスタジアムの雰囲気も相まって、ガンバの攻勢を受けたセレッソだが、ここは何とかしのぐと、73分にビッグチャンス。71分に水沼に代わって途中出場した関口訓充のシュート性のクロスをGK東口がファンブルしたところを山村が詰めたが、シュートはバーを越えた。すると、4分後の77分。CKから三浦弦太に決められガンバに逆転を許すと、86分にもカウンターから3失点目を喫して、万事休す。市立吹田サッカースタジアム史上、最多となる36,177人を飲み込んだ大阪ダービーで、セレッソは1-3の逆転負けを喫した。

 セレッソとしては、「決めるべきところで決めることができず、相手は決めるところでしっかりと決めてきた。その差が出たと思います」と試合後に山村も振り返る苦々しい展開となってしまった。山村と同様、「俺か(山村)和也くんが決めていれば、試合は決まっていたと思います。反省しないといけないし、試合が終わってからもそういう話を2人でしました」と杉本も自らを責めたが、その一方で、「過ぎたことは仕方ないし、帰って来ない。(山村と)『次、俺らが決めて、札幌戦に絶対、勝とう』という話をポジティブにできたので、今日の負けを引きずるのではなく、次の試合でしっかり借りを返したいと思います」と顔を上げた。

 実に公式戦16試合ぶりとなる敗戦。それが大阪ダービーとなってしまったことは、セレッソとしては痛恨の極みだが、「やることは間違っていないし、続けていければしっかり結果につながると思う」(山村)と視線を落としてしまわないことが何より大切。今節出た課題をチームで共有して落とし込み、次節、ホームで迎えるコンサドーレ札幌戦にしっかりと勝つこと。それが、大阪ダービーで敗れたセレッソに課せられた使命となる。

文・小田尚史