8月5日(土)2017明治安田生命J1リーグ第20節
セレッソ大阪 3-1 北海道コンサドーレ札幌 (19:04/金鳥スタ/14,208人)
試合写真・コメントなど
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 焼け付くような暑さの今夏。その真っ只中である8月、セレッソ大阪にとって最初の試合となったのが、2017明治安田生命J1リーグ第20節。ホームのキンチョウスタジアムに北海道コンサドーレ札幌を迎え撃った。この試合では、前線にはリカルド サントスがJ1今季初先発を果たしたほか、右サイドバックには田中裕介が第14節・アルビレックス新潟戦 以来となるスターティングメンバーに名を連ねた。フィールドプレーヤーは、セビージャFC戦 と同じく、今夏限定のサマーユニフォームを身にまとって大事な一戦に挑んだ。

 1週間前の第19節 では、宿敵・ガンバ大阪に敗れ、リーグ戦で10試合ぶりの黒星を喫したなか、「絶対に連敗しない」という強い想いのもと、桜色の戦士たちはピッチに立った。「非常に立ち上がりから今日にかける思いというのがみんなから伝わっていた」と言うのは、2試合連続でセンターバックに入った木本恭生。その意気込みは、開始すぐに結果になって表れる。キックオフ後、最初のホイッスルがまだ鳴らないうちに、セレッソが試合を動かす。
 自陣からのロングフィードのこぼれ球を山口蛍が前線に配球。これをリカルド サントスが自慢の推進力でペナルティーエリアまで運ぶ。1度は相手に弾き出されたが、このボールを狙っていたのが、杉本健勇だった。桜の9番は右足一閃。ミドルシュートは鮮やかな弧を描きながらゴールに吸い込まれた。「1発目のチャンスはどっちに来るかわからない中で、俺らのほうに来たら、しっかりそこで仕留めようというのは自分のなかでも思っていましたし、チームとしても決まっていました」と言う杉本の、30秒も経たないうちに決まった先制弾は、ホームチーム、桜色のサポーターを勇気づける会心の一撃だった。

 そこから、途中、札幌MF菅大輝の左ミドルシュートにひやりとさせられる場面もあったが、GKキム ジンヒョンがしっかり反応して弾き出して防ぐと、リカルド サントスのヘディングシュートなどでセレッソの攻勢が続く。この試合では、「ダービーでは球際のところや切り替えのところなどが相手にちょっと上回られてしまったので、そういうところから練習でもみんな取り組んでいた」と田中も言うように、チーム全体として球際への執着心が強く、相手より先に動く、ボールに触るという積極的な姿勢が徹底されていたセレッソ。
 それを象徴したのが、2点目につながるプレーだ。相手の動き出しより先にリカルド サントスがボールを捉えたところで、相手DFのファウルを受けて直接フリーキックを得る。これを生かしたのがMFソウザ。右足を振り抜くと、相手GKの逆を突く「思い通り」のシュートがゴールネットを直接揺らした。

 セレッソの勢いはまだ止まらない。試合を決める3点目はその2分後。この試合でJ1通算100試合出場を達成した柿谷曜一朗をはじめ、左サイドでの流れるようなパスワークからチャンスを作ると、丸橋祐介がゴール前に的確な左クロスを供給。これをソウザと相手DFごと吹っ飛ばしながらヘディング弾を叩き込んだのが杉本。得点ランキングトップタイの今季13得点目で、リードを広げた。

 守備でも粘り強い対応、ハードワークを続けて、前半を無失点で折り返したセレッソ。後半に入っても、杉本、リカルド サントス、ソウザらに好機は生まれるが、次第に立て直してきた相手の反撃も受けることに。終盤の83分にはタイ代表MFチャナティップのスルーパスで攻め崩され、菅にJ1初得点となるゴールを献上し、2点差に詰め寄られる。それでも、途中から関口訓充、秋山大地と、走りきれる選手を投入していただけでなく、86分には藤本康太を入れて守備を固めるなど、前節の反省もしっかり生かしながら試合をクローズ。追加点こそあげられなかったが、3-1で札幌を下し、今季公式戦キンチョウスタジアム全勝を継続。1試合多い暫定とはいえ、首位の座もキープした。

 欲をいえば、追加点を重ね、かつ無失点で乗りきりたかったが、前節負けていたからこそ、その教訓をしっかり生かして、タフに戦ったこの1勝の価値は大きい。新たに入った選手も活躍するなど、チームの総力も発揮でき、「チームも連敗することなく今日勝てましたし、いい方向に向かっていくようにしたい」と殊勲の杉本。8月の酷暑のなかでもタフに戦い、走りきる。それが「ユン・セレッソ」の肝であることが改めて認識された試合でもあった。

文・前田敏勝